銀行のクレジットカード事業における主要な二つの収益源にトランプ米大統領が圧力をかけたことを受け、ウォール街の金融機関は対立の可能性に備えながらも、譲歩策探しに奔走している。

事情に詳しい関係者によると、一部の経営陣は内心ではトランプ氏の最近の攻勢にいら立つ一方で、金利上限を10%に設定するクレジットカードを提供する案などを検討している。ほかにも、期間限定で金利負担を軽減する販促策を検討している金融機関もあるという。

トランプ大統領のクレジットカード金利上限設定要求に関してブルームバーグ・ニュースのページ・スミス記者が解説

しかし、こうした穏当な代替策でトランプ氏の不満を抑えられない場合、業界は従来通り、強力なロビー活動や消費者向け広告キャンペーン、訴訟といった対応策に戻る可能性があると内部関係者は述べている。

トランプ氏は先週、クレジットカード金利の上限を1年間、10%に設定するよう求めるとSNSで表明した。13日には超党派法案「クレジットカード競争法」への支持を議員に呼びかけた。同法案は、クレジットカード決済時に加盟店が銀行や決済会社に支払う年約2000億ドル(約32兆円)規模の手数料を標的にしたもの。

JPモルガン・チェースのジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)は13日、金利上限が導入されれば「消費者にとっても経済全体にとっても非常に悪い結果になる」と述べ、対策について「あらゆる選択肢を検討している」と語った。

銀行幹部らは迅速な対応を迫られている。トランプ氏は金利を1月20日までに引き下げなければ何らかの「法律違反」になると警告している上、業界では2025年決算の発表が始まったところだ。JPモルガンは13日に決算を公表した。

アナリストの間では、クレジットカード金利を一律10%に上限設定すれば利益が消失しかねないとの見方が強く、JPモルガンの経営陣は既に決算説明会で対応策や影響について質問を受けている。シティグループとバンク・オブ・アメリカ(BofA)、ウェルズ・ファーゴなどの大手銀行は14日に決算を発表する予定。

法律事務所バラード・スパーの金融規制担当パートナー、ジョセフ・シュースター氏によると、金融機関の間では既存顧客の一部または全員を対象に1年間限定の優遇策を検討する動きがある。

週末の奔走

トランプ氏が金利上限案をSNSに投稿したのは9日(金)午後8時ごろだったが、それ以前からウォール街では、ホワイトハウスが今年の中間選挙をにらみ有権者への訴求材料として収益性の高いカード事業を標的にするとの観測が広がっていた。

関係者によると、8日時点で銀行やカード会社の間ではトランプ氏の要求内容を予想する協議が始まっていた。しかしトランプ氏がSNSのトゥルース・ソーシャル上で、米国民が「搾取」されるのをこれ以上許さないと宣言したのは、業界関係者の予想より早かった。

この発言を受け、各社は週末を通じてトランプ氏周辺との接触を急いだ。事情に詳しい別の関係者によると、銀行側はリスクの高い借り手への貸し出しが維持できなくなり、小規模事業者や航空会社、米経済全体に打撃を与えると主張した。一部の銀行幹部やロビイストは、懸念を伝えるためベッセント財務長官への接触も試みたとされる。

だが、週明けの13日になっても、金融業界ではトランプ氏が金利上限をどのような法的根拠で実現しようとしているのか理解できずにいた。ホワイトハウスは正式な提案を示しておらず、JPモルガンの経営陣は13日の決算説明会で、トランプ氏の案に関して新たな情報がほとんどない中で、質問に対応せざるを得なかった。

同行CFOのバーナム氏は「これはSNSへの投稿から始まり、型破りな形で非常に急速に進んでいる」と述べ、ホワイトハウスとのやり取りについて「質問する理由は理解できるが、現時点で回答できる情報はない」とした。

原題:Wall Street Scrambles to Defuse Trump’s Credit Card Onslaught(抜粋)

--取材協力:Todd Gillespie、Steven T. Dennis、Emily Mason.

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