米メタ・プラットフォームズの人工知能(AI)製品責任者にこれまでメタバース事業のトップを務めていた幹部が就任した。メタは先週、AI部門で約600人を削減しており、今回の人事異動は同社がAI投資を積極的に進める一方で、社内体制の再構築にもなお取り組んでいることを示している。

事情に詳しい関係者によると、過去4年間メタバース構築を主導してきたビシャル・シャー氏がAI部門「メタ・スーパーインテリジェンス・ラボ(MSL)」に移り、最近採用されたナット・フリードマン氏の下でAI製品を統括すると、27日の社内文書で従業員に通知された。インスタグラムの製品責任者を務めた経験を持つシャー氏は今後、チャットボットを含むメタのAI技術を各種アプリやウエアラブル端末に実装する責任を担う。

ビシャル・シャー氏(2021年)

メタはシャー氏の異動に伴い、メタバース部門の幹部2人を昇格させる。同関係者によれば、仮想世界プラットフォーム「メタ・ホライゾン」の製品開発を率いてきたゲイブ・オール氏がアバターやコンテンツ体験を含むメタバースの統括責任者となる。一方、ライアン・ケアンズ氏は仮想現実(VR)ヘッドセット「Quest(クエスト)」とその基本ソフト「メタ・ホライゾンOS」の責任者を引き続き務めつつ、新たにアンドリュー・ボズワース最高技術責任者(CTO)の直属となる。これらの異動は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が先に報じた。

マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)はAIを最優先分野に位置づけ、ライバルのOpenAIやグーグルに対抗するため今年数百億ドルをデータセンターやAI人材に投じる計画だ。先週、AI部門で人員削減を行った際にアレクサンドル・ワン最高AI責任者(CAIO)はチームの意思決定を迅速化するための措置だと説明した。

メタのAI開発の遅れに不満を募らせたザッカーバーグ氏は6月、AI研究者の採用に自ら動いたほか、MSL内に最先端のAIモデルを開発する新たな研究拠点「TBDラボ」を設立した。その後、MSLではここ数カ月で複数回にわたり組織再編が行われてきた。

ボズワース氏は社内文書でメタバース事業について、依然重要であり、全社的な優先分野に位置づけていると説明した。

メタは29日の米株式市場引け後に7-9月(第3四半期)決算を発表する予定で、ザッカーバーグ氏は投資家向け説明会でAIを主要テーマとする見通しだ。

原題:Meta Shifts Metaverse Executive to AI Following Job Cuts (2)(抜粋)

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