連立離脱の公明党 中国にとってどのような存在?

Q.26年にわたる自民党と公明党の協力関係に終止符が打たれました。公明党の連立政権離脱は今後の日中関係にどのような影響を与えますか?

楊伯江 所長
公明党は尊敬すべき政党です。政治理念においては、公明党は平和主義を唱えており右翼的ではありません。また、私が公明党を尊重する理由の1つは、市民との距離が近く、草の根の政党という印象を持っているからです。1999年から自民党と公明党が協力関係を結んできた理由は、公明党が自民党の届かない社会階層、草の根レベルの票を補完できたからだと思います。自民党が不足している部分を公明党が補完してきたことで、両党は26年にわたる協力関係を維持してきたのです。このように、平和・中道を主張し、市民を重視し、市民との距離が近い政党は、尊重される政党だと思います。

また、中日関係でいえば、1972年の国交正常化以前から、公明党の支持母体である創価学会、特に池田大作氏は中日関係を回復・発展させるために貢献してきました。公明党は長年にわたり中日友好・相互協力の分野で重要な役割を果たし続けています。したがって、公明党は、連立与党であろうと野党であろうと中国国民から尊敬される平和の党であると私は考えています。今後も公明党との交流や意見交換を続けていきたいと考えています。

今年4月北京を訪問した公明党の斉藤鉄夫代表と楊所長

今後の日中関係どうなる?「長期的にはやや楽観視」も現時点は…

Q.今後の日中関係についてはどのように考えていますか?

楊伯江 所長
私個人としては、中日関係はもっと良くなるべきだと考えています。これは外交辞令ではありません。隣国の関係というのはとても宿命的なものです。職場で上司や同僚との関係が悪いのであれば会社を辞めることができます。近隣に住む人との関係が悪いのであれば引っ越すことができます。しかし、隣国はそうはいきません。ですので、中日関係にとって唯一の正しい選択は、平和で友好的な関係を築くことであり、相互に協力する関係を築くことです。

両国にとってお互い利益を得ることができる協力分野もあります。例えば、中国と日本の距離はとても近いですから物流コストを低く抑えることができます。中日両国における経済分野での補完性は競争を上回っています。こうしたことを理性的に評価すべきです。

中国は、日本と健全で安定した戦略的互恵関係を発展させていきたいという政策を一貫して示しています。中国は政府の文書で「日本は中国にとって最大の戦略的挑戦」などと明記したことは一度もありません。直近では去年、中日両国の首脳が戦略的互恵関係を推進するという目標を再確認しました。しかし、日本の国家安全保障戦略や防衛白書は中国を「最大の戦略的挑戦」と位置付けています。日本側の本音が分からず中国国民を困惑させています。日本は中国をどのように見ているのでしょうか?

一方、中国にとって日本の位置付けは比較的明確です。第一に隣国であり、第二に重要な協力パートナーであるということです。第三に、私たちは日本の政治家による歴史の歪曲化には同意せず、日本が台湾問題に関して当初交わした約束を破っていることには同意しません。中日関係を長期的に見た場合、私はやや楽観的に見ています。いち内閣が登場したからといって中日間の平和的で安定的な友好協力関係が途絶えるとは思っていません。ただ、現時点は比較的複雑で難しい段階にあると思います。