27日の日本市場では株式が大幅高。日経平均株価の上げ幅は一時1100円を超え、初めて5万円台に乗せた。米中貿易摩擦への警戒が後退し、投資家はリスク選好姿勢を強めている。債券と円は下落している。

ベッセント米財務長官はCBSニュースのインタビューで、トランプ大統領による中国製品への100%関税の警告は「事実上、撤回された」と発言。中国はレアアース(希土類)に関する包括的な規制の実施を延期する見通しだと語った。

東海東京インテリジェンス・ラボの平川昇二チーフグローバルストラテジストは、米中の緊張緩和や国内の積極財政期待、円安傾向など株価のプラス材料がそろい、きょうの日本株は上値追いの展開になると話していた。

また、9月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、米利下げ観測が高まったことも株価を後押ししている。りそなホールディングスの武居大暉ストラテジストは「CPIが加速した場合は利下げパスの修正が図られるとの懸念が少しあった」とし、それが一定程度払拭されたのは大きいと述べた。

株式

株式は日経平均とTOPIXがともに取引時間中の最高値を更新した。米中貿易摩擦への警戒後退と米CPIの伸びが市場予想を下回ったことが好感されている。

日経平均は1191円58銭(2.4%)高の5万0491円23銭まで上昇した。東証33業種は全て高い。米半導体株高が追い風となる電機や精密機器のほか非鉄金属や自動車、証券や銀行など金融株の上げが大きい。

国内要因も株高につながっている。りそなHDの武居氏は、高市政権の支持率が歴代で見ても高水準と相次いで報じられ、高市首相が掲げる国土強靭(きょうじん)化や防災、経済安全保障面からハイテク・半導体のサプライチェーンなどの政策が「確実に実行されるという期待感がある」と話した。

債券

債券は下落。米中貿易交渉の前進を受けたリスク志向の強まりから売りが優勢だ。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは「リスクオンのムードが債券の売り材料」と語る。日本銀行が今週開く金融政策決定会合は据え置きが予想されているが、「年末か来年初めに利上げが行われるとの観測により、買いにくい面もある」と言う。スワップ市場は年内の利上げを4割前後、来年1月まででは8割強織り込んでいる。

為替

円相場は対ドルで153円付近で推移。リスク選好のドル買いが先行した後は、急ピッチのドル高を受けた調整も入った。

三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、リスクオンの流れでドル・円は底堅いとした上で「今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀会合など重要なイベントが多く、ポジションを大きく傾けにくい」と述べた。

ドル・円は153円27銭を上抜けると2月以来の高値となり、「次の節目は153円50銭。それより上に買い進まれるには新しい材料が必要」とみている。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:横山桃花.

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