人工知能(AI)を活用して資金管理を最適化する顧客の動きに銀行が対応しない場合、利益が最大で計1700億ドル(約26兆円)減少する可能性がある。

コンサルティング会社マッキンゼーが23日に公表した報告書によると、顧客がAIエージェントの利用を拡大すれば、銀行が低金利口座などから得ている利ざやが失われる見通しだ。

マッキンゼーの上級パートナー、プラディプ・パティアス氏は「AIエージェントが『資金を移せば年間2000ドルが浮く』と提案するような環境」では、「今までシステム内で動かなかった資金の多くが、自動的に動くようになるだろう」と語った。

マッキンゼーの試算によると、個人が保有する預金総額70兆ドルのうち、23兆ドルは金利ほぼゼロの口座に置かれており、残りの資金も比較的低金利の口座にあるという。

顧客がAIエージェントを利用するようになれば、銀行の利益は最大で9%減少し、金額にして約1700億ドルの打撃となる可能性がある。事業モデルを変えなければ、平均的な銀行の収益率は資本コストを下回る恐れがあると指摘している。

一方で、AI導入により銀行業界全体で15-20%のコスト削減が見込まれるという。ただ、その効果は競争によって薄れるとみられる。リポートは「銀行にとっての利益は競争によって浸食され、恩恵の大半は顧客に還元される可能性が高い」としている。

ただ、競合他社に先行してAIエージェントを導入しコスト削減を進めた銀行には、優位性が生まれる可能性がある。パティアス氏は「早期導入企業は『水位がリセットされる前に』先行者利益を得るだろう」と述べた。

原題:McKinsey Says Bank Profits Face Possible $170 Billion AI Hit(抜粋)

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