
(ブルームバーグ):米政府機関の一部閉鎖は22日目を迎え、歴代2番目の長さとなった。失効を控えている医療保険制度の補助金延長を巡る与野党の対立が続いており、解決の糸口は見えていない。
トランプ大統領は今週、アジア歴訪に出発する予定となっており、議員や議会関係者は政府閉鎖が11月まで続き、トランプ氏の1期目に発生した35日間の閉鎖を超える可能性が現実的にあるとの見方を示している。
トランプ氏と上院共和党議員がホワイトハウスで開いた21日の会合では、共和党側が民主党との交渉を拒否する姿勢をより強めたように見受けられた。民主党は政府再開の条件として、2026年1月から保険料の急騰が見込まれる2200万人の国民に対する支援措置を議会が講じるよう求めている。

トランプ大統領は「われわれのメッセージは極めてシンプルだ。あのようなむちゃな案で脅されるようなことはない」と述べた。
民主党のシューマー上院院内総務とジェフリーズ下院院内総務は、トランプ氏のアジア歴訪前に会談を求めているが、大統領は21日夜、政府閉鎖が終わるまでは話さない意向を表明した。
下院可決の11月21日までの暫定予算案を上院で成立させるには、フィリバスター(議事妨害)を回避するために、少なくとも民主党議員8人の賛成が必要となる。

共和党のスーン上院院内総務は、政府機関が再開され次第、医療保険制度改革法(オバマケア)の補助金継続について本会議で採決することを民主党に約束した。しかし、民主党側は下院が本当に採決に動くとは限らないと懐疑的で、それでは不十分だと主張している。
シューマー氏は記者団に対し、「結論から言えば、それは合意ではなく、米国民を見捨てる一方的な政略だ」と述べた。

経済的影響
経済への影響は今週さらに深刻化する見通しだ。今月一部支給されていた軍人以外の連邦職員の給与が、24日には初めて全額支給されない事態となる。
ホワイトハウスは、軍人給与の支払い継続や低所得者層の食料品購入支援の資金枯渇を防ぐための異例かつ違法の可能性もある会計操作が困難になる恐れがあると警告している。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のチーフ米国エコノミスト、アナ・ウォン氏は、政府閉鎖により失業率が一時的に小幅上昇する可能性があると述べた上で、政府再開後は4.3%に低下するとの見通しを示した。
ただ、影響はワシントン地域で特に大きいと指摘した。連邦職員の集中度が高く、請負業者や取引先企業、サービス業者などには遡及(そきゅう)的な給与支払い(バックペイ)がないためだ。
下院共和党議員は9月19日以降ワシントンを離れており、ジョンソン下院議長は政府閉鎖が続く限り10月中の議会再開は行わない意向を示している。ジョンソン氏と共和党幹部は、民主党の支持を得るために暫定予算案の文言を修正する必要はないとの立場を堅持している。
ジョンソン氏は21日、「交渉すべきことなど何もない」と記者団に語った。
ジョンソン議長は期限切れとなる医療保険補助金について、年末に向けた協議の可能性に言及しているが、保守派議員はその見返りとして、中絶やトランスジェンダー医療をカバーするオバマケア医療保険の制限を含む譲歩を求めている。
一方、ホワイトハウスは民主党への圧力を強めており、民主党が多数を占める州の連邦事業を打ち切る構えを見せている。トランプ大統領は行政管理予算局(OMB)のボート局長を、スター・ウォーズの悪役「ダース・ベイダー」になぞらえた。
実際にOMBはこうした州における280億ドル(約4兆2600億円)規模のプロジェクトを既に中止または停止し、教育省、厚生省、内務省などの国内機関での大量解雇も試みた。この解雇計画については現在、政府閉鎖中に解雇に予算を使うのが連邦法に違反するかどうかを巡る訴訟が進行中で、一時的に差し止められている。
こうした動きは、かえって民主党側を勢いづかせており、一部の議員は政府閉鎖に関する合意の中でボート局長の権限に制限を設けるよう要求している。
上院の穏健派議員による非公開協議も進展は見られていない。21日、民主党の穏健派であるシャヒーン議員は、行き詰まりからの打開策が見えているかとの質問に対し、首を横に振り「まったく見えていない」と述べた。
原題:US Government Shutdown Is Now Second Longest in History(抜粋)
--取材協力:Laura Davison.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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