(ブルームバーグ):米アルファベット傘下のグーグルは、自社の量子コンピューター用チップ「ウィロー」で、既存のスーパーコンピューターを上回る性能を発揮するアルゴリズムを実行した。今後5年以内に量子技術の実用化につながる重要な一歩と位置づけている。
英科学誌ネイチャーに20日掲載された論文では、「量子エコー」と名付けられた同アルゴリズムは再現性を備え、他の量子コンピューターでも実行できると報告された。グーグルは、世界最高性能のスーパーコンピューターで同じ計算を行う場合よりも、1万3000倍速く処理できたと説明。これらの成果を踏まえ、医療や材料科学など幅広い分野への応用が見込まれるとしている。
研究を総括したグーグルの量子AIチームの研究員、トム・オブライエン氏は「再現性を確保できたことは、量子技術を実社会に応用するうえで極めて大きな一歩だ」と指摘。「今回の成果で、量子コンピューティングを主流技術に一段と近づけることができた」と語った。
今回のブレークスルーにより、グーグルは量子コンピューティングが持つとされる強力な処理能力の活用に一歩近づいた。同分野では、マイクロソフトやIBMのほか、多くのスタートアップも開発を競っている。
量子計算分野で著名なコンピューター科学者のスコット・アーロンソン氏は、グーグルがスーパーコンピューターを上回る性能を再現性をもって確認できる形で示したことに「非常に興奮している」と電子メールで述べた。 同氏は、こうした実証は「この分野で過去数年間にわたる最大の課題の一つだった」と指摘。ただ、今後も多くの課題が残されているとの見方を示した。
原題:Google Unveils Quantum Computing Breakthrough With Willow Chip(抜粋)
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