日経平均株価は依然として史上初の5万円の大台を窺う水準が続いています。“株高なのに生活が苦しい”「株高不況」という言葉も出てきました。
きょうもその時は訪れませんでした。
記者
「きのうまでは5万円に迫る水準まで値上がりしていましたが、きょうは大幅に値下がりしています」
歴史的な節目の5万円まであと50円ほどに迫った日経平均株価は、きょう反落。一時、700円以上下落し、大台の到達まで足踏み状態が続いています。
とはいえ、「底堅い」今の東京市場。結局、きのうからほぼ横ばいで取引を終えました。今の株高の大きな支えとなっているのが…
海外投資家
「日本は国際投資家にとってアジア最大の投資先です」
“海外マネー”です。日本株の売買で7割を占めるのは海外勢。聞こえてくるのは“期待の声”ばかりです。
海外投資家
「新総裁と経済政策への期待から、日本の株式市場にとって、とても良い1週間でしたね。これは期待できます」
海外からの“熱視線”を受け、史上初の5万円を射程に入れる株価。ところが、生活への実感は…
「生活している上では(株高の恩恵は)全く感じてないです。商品の値上がりはいっぱいするけど、自分たちの生活が苦しくなっている一方」
“株が上がっているのに生活は苦しい”。いったい、どういう状況なのでしょうか?
第一生命経済研究所 藤代宏一 主席エコノミスト
「今の日本の株式市場と街角の景気でいくと、株高不況という構図にあると思います」
「株高不況」。最大の要因は「物価高」=インフレにあります。
第一生命経済研究所 藤代宏一 主席エコノミスト
「株価が大きく伸びる原動力の一つにインフレがあります。インフレは基本的に株式の追い風になる」
どういうことなのでしょうか?物価の上昇を含めた国の成長=「名目GDP」のグラフ。物価の上昇に伴い、2020年ごろから急激に伸びています。一方、株価の推移。重ね合わせると、ほぼ一致しています。
第一生命経済研究所 藤代宏一 主席エコノミスト
「それがまさにインフレ。現実に起きていることは、賃金も物価も、ありとあらゆるものが上がる中で株も上がっている」
ただ、日常では、物価高は成長というよりは、家計への負担と感じる場合が圧倒的です。そのため「株高」と「日常」に大きな溝が生まれてしまうのです。
こうして生まれた「株高不況」。解消には賃金の上昇が必要ですが…
第一生命経済研究所 藤代宏一 主席エコノミスト
「たった2~3年賃上げがあっただけでは、2~3年、たまたま運が良くて賃上げが実施されたと思う人も多い」
企業が成長し、物価高を上回る賃上げを達成するにはまだ少し時間がかかるといいます。
こうした中、始動した高市政権。日本経済が「株高不況」を抜け出すまでしのげるか。早速、正念場を迎えています。

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