政策面では安倍元総理を踏襲?
室井さんは、今回の外交・経済の人事をどのようにご覧になっていますか?
TBS政治部 室井祐作デスク:
今回の高市内閣を俯瞰して見ますと、官僚出身者、実務者が多いという印象です。その中でも、積極財政を掲げる二人は特徴的です。

片山財務大臣は旧大蔵省出身で女性初の主計局主計官と、まさに国家予算を編成・管理する役職でした。自民党の中でも、財務省出身なのに珍しく積極財政派の人です。同じく、城内実 日本成長戦略担当大臣も、外務官僚で積極財政を掲げ、高市総理とも政治信条が非常に近い人物です。
これから物価高対策が急がれていますが、21日の高市総理の会見でも、▼ガソリンの暫定税率の廃止、▼年収103万円の壁の見直し、さらに日本維新の会と▼社会保険料の値下げの話が今後焦点になりますが、やはりその注目は財源です。
財源をどうするのかが焦点になります。積極財政派の片山財務大臣がどのような手腕を発揮するのか注目しています。
さらに外交では、茂木外務大臣は2019年の経済再生担当大臣時代に、日米の貿易交渉でトランプ大統領と対峙し、日本の主張を一歩も譲らなかったことから“タフネゴシエーター”と呼ばれました。
また、赤沢大臣は直近の“トランプ関税”で直接交渉してきたこともあり、完全に10月末のトランプ大統領の来日に向け、“トランプシフトを組んだ”という印象を受けます。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
今回の人事には大いに期待していますが、せっかく高市氏が総理になったので、女性がもっと入閣するかと思いましたが、女性閣僚が2人になったことには驚きました。
また、安倍派と言われるような人たちが、副大臣や政務官で復活していて、内閣官房参与では、今井尚哉氏が戻ってきたことで、第3次安倍内閣政権と言ってもいいような特徴があると見ています。
井上貴博キャスター:
政策面で安倍氏を踏襲していくということも見えますが、積極財政で片山氏が入り、これまで財務省との「財源をどうするのか」という綱引きでしたが、本当に積極財政で成長していくのかは見てみたいと思います。絵にかいた餅なのか、踏み込むことができるのか。
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
そこはこれまでとは少し違う政策が出てくるのではないかという期待もなくはありませんが、すでに給付の話もなくなることもあり、積極財政が防衛費の増大などに使われてしまうと、私たちの暮らしには直結しないのではないかという心配はあります。