(ブルームバーグ):米航空宇宙局(NASA)は、宇宙飛行士を月面に送る契約をめぐり、イーロン・マスク氏率いるスペースXに対抗する他企業にも競争参加を促す方針だ。同社の大型ロケット「スターシップ」の開発遅延に対する不満が高まっていることを示唆する動きだ。
NASAのダフィー暫定長官は20日、FOXニュースのインタビューで「現在、その契約を他社にも開放する手続きを進めている」と述べたうえで、「どの米企業が最初に人類を再び月に送り込めるかを競う、新たな宇宙レースになる」と語った。
有人宇宙探査計画の中核プロジェクトで、この段階で新たな企業を加える動きは異例。半世紀ぶりとなる月面有人飛行をめぐり、米国が中国に後れを取るのではないかという懸念がトランプ政権内で高まっていることを示唆している。
ダフィー氏はCNBCの取材に対しては、「スペースXは素晴らしい企業で、私は彼らを高く評価している」と述べたうえで、「しかし問題は、開発の遅れだ。日程を後ろ倒しにしており、われわれは中国との競争の最中にある」と語った。
NASAはこれまでに、スペースXに約40億ドル(約6000億円)規模の契約を付与。早ければ2027年に宇宙飛行士を「スターシップ」で月面へ輸送する計画を進めている。
ダフィー氏は、契約を他社にも開放するとの発言について、新たな入札を実施するのか、あるいはスペースXが受領する資金を見直すのかなどについては明らかにしなかった。
NASAの担当者は、ダフィー氏の発言内容以上の説明は差し控えた。 スペースXの広報担当にもコメントを要請したが、返答は得られていない。
原題:SpaceX Delays Forcing US to Rethink Musk’s Moon Landing Contract(抜粋)
--取材協力:Sana Pashankar.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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