(ブルームバーグ):中国経済は7-9月(第3四半期)に輸出の急増にもかかわらず、1年ぶりの低成長となったもようだ。共産党は20-23日に開催される党の重要会議「第20期中央委員会第4回総会(4中総会)」で、このずれを是正する方針を打ち出す可能性がある。
米国との貿易摩擦が激化する中、投資や工業生産、小売売上高の低迷が、過去最高の輸出による景気の勢いを相殺している。ブルームバーグがまとめた予想中央値によると、中国国家統計局が20日に発表する国内総生産(GDP)は前年同期比4.7%増となる見通しで、4-6月の5.2%増から鈍化する見込みだ。

9月の小売売上高は3%増、工業生産は5%増と予想されており、いずれも年内で最も弱い伸びとなる見通し。
一方、1-9月の固定資産投資は前年同期比横ばいと再び鈍化することが見込まれている。地方政府の支出能力を下支えするため、政府債務を大幅に拡大させてきたものの、インフラへの公的支出だけでは住宅投資の急減や製造業向け投資の鈍化を補いきれていない。
また、海外企業による投資も減少している。新たな海外直接投資(FDI)は1-8月で前年同期比約13%減と、3年連続の減少が見込まれている。
一方、明るい材料は輸出で、税関総署が13日に発表した9月の輸出はドルベースで前年同月比8.3%増と、エコノミスト予想中央値の6.6%増を上回り、伸び率は半年ぶりの大きさとなった。
こうした経済の脆弱(ぜいじゃく)さを背景に、北京で開かれる4中総会では、2026-30年に向けた政策の優先課題が議論される見通しだ。各国政府や投資家からは、経済の重心を外需から国内消費へと再均衡させるよう求める声が強まっている。
国際通貨基金(IMF)は、中国の25年の成長率見通しを4.8%に据え置いたが、来年は4.2%に減速すると予測している。この見通しはブルームバーグがまとめたエコノミストの予想中央値と一致している。
IMFは世界経済見通しで「中国の見通しは依然として弱い」とし、「不動産投資が縮小する中で、経済は債務デフレサイクルの瀬戸際に立っている」と警告。「財政措置を通じて社会保障や不動産分野に重点を置き、家計消費へのリバランスを進めること、さらに産業政策を縮小することが、対外黒字の縮小と国内のデフレ圧力緩和につながる」と指摘した。
このほか、日本や英国のインフレデータ、主要経済国・地域の購買担当者指数(PMI)などが注目される。米政府機関の閉鎖を受けて公表が延期されていた9月の米消費者物価指数(CPI)が24日に発表される。
原題:Chinese Export Boom Can’t Stop Its Economy’s Slowdown: Eco Week(抜粋)
--取材協力:Anthony Halpin、Paul Abelsky、Paul Wallace、Brian Fowler、Laura Dhillon Kane、Vince Golle、Monique Vanek、Robert Jameson、Mark Evans.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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