決算シーズンの幕開けとともに、株式市場の土台に亀裂が生じる可能性が出ている。一部地方銀行によるリスクの高い融資が、その要因として浮上しつつある。

ザイオンズ・バンコープとウェスタン・アライアンス・バンコープの株価は16日に急落。両行とも、商業用不動産ローン投資ファンド向け融資で不正の被害を受けたと明らかにした。この開示を受け、KBW銀行株は関税政策に伴う4月の混乱以来最大の下げとなった。

これに先立ち、米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は14日の決算会見で、信用市場には「ゴキブリ」がいると警告していた。米自動車ローン会社のトライカラー・ホールディングスと自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループの破綻を念頭に置いた発言だった。

ウォール街では既に神経質なムードが広がっており、信用不安が強まれば3年にわたる株式の強気相場が崩れかねないとの懸念がくすぶっている。

BMOグローバル・アセット・マネジメントのサディク・アダティア最高投資責任者(CIO)は「市場はややパニックに陥った」と述べた。

 

7-9月(第3四半期)決算シーズンの最初の週は、金融業界の一角は好調さを維持していることが示された。バンク・オブ・アメリカ(BofA)、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス・グループなどの大手は予想を上回る決算を発表した。だが来週は様相が異なる。ザイオンズやウェスタン・アライアンス、イースト・ウェスト・バンコープといった地銀の決算発表が控えているためだ。

ホライズン・インベストメンツのポートフォリオ運用責任者ザカリー・ヒル氏は「投資家はややひるんでおり、とりあえず売ってから理由を考えるという状況だ」と語った。

金融業界は現在、二極化の様相を呈している。大規模な銀行やウォール街の金融機関は、好調なトレーディングと投資銀行業務を背景に前進しており、多少の不良債権があっても規模の大きさが緩衝材となる。一方、規模の小さい銀行はそうしたクッションが乏しく、リスクがより深刻だ。

投資家は既にその違いを目の当たりにしている。KBW地方銀行株指数は16日、4月以来最大の下げとなり、年初来の上昇分が帳消しとなった。一方、全米の大規模銀行やウォール街の大手金融機関が含まれるKBW銀行株指数は2025年に入り14%上昇している。

「銀行セクターでの不透明感や信用の質を巡る疑念が続くのであれば、大手行の方が地銀よりも安全な避難先であることは確かだ」とヒル氏は述べた。

 

一部地銀の問題が大手行や経済全般に波及するリスクも当然ある。ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏は、たとえ「軽度」の信用不安でも、「割高な株式市場にとっては好ましくない」と指摘。テクノロジーセクターは「非常に注意深く」見ていく必要があると付け加えた。

トライバリエート創業者アダム・パーカー氏は、今年前半は格付けが低めの企業や人工知能(AI)関連銘柄に「大きな動き」が見られたと指摘。一方で現在は投資家が、ポートフォリオに組み込む「バラスト(安定資産)」を探していると分析。質の高い金融株やヘルスケア株、金属株といった例を挙げた。

それでも、大手金融株や金融セクター全般に対する投資家心理は明るい。

インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は「特にシステム上重要な銀行が健全である限り、一部機関の問題が個別要因にとどまるようであれば、業界は問題を乗り越えられるだろう」と分析した。

17日に発表された決算は一部の懸念を和らげた。トゥルイスト・ファイナンシャル、リージョンズ・ファイナンシャル、フィフス・サード・バンコープはいずれも、信用損失引当金がアナリスト予想を下回った。

原題:Traders ‘Spooked’ as Bank Lending Risk Puts Stock Market on Edge(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.