(ブルームバーグ):米配車大手ウーバー・テクノロジーズは、米国内の一部ドライバーに追加報酬を得られる新たな選択肢を提供する。人工知能(AI)開発のデータラベリング事業に関連するタスクで、AIブームの中、同社はこの分野に事業機会を見いだしている。
ウーバーによると、「デジタル・タスクス」と呼ばれる新しいジョブカテゴリーが秋後半から同社のドライバーアプリで一部の作業員向けに表示される。登録済みの既存ドライバーが数分で完了できる簡易作業を引き受けることで、少額の報酬を得られる仕組みだという。
サチン・カンサル最高製品責任者(CPO)は、現時点での業務内容にはレストランメニューなどの資料アップロードや、複数の言語でシナリオをナレーションする音声サンプルの録音などが含まれると説明。今後もタスクは増え、報酬は各作業に要する時間によって変わる。
AIモデルの訓練で人間による検証を必要とするカスタムデータセットやラベリングサービスへの需要が高まる中、ウーバーはこの波に乗ろうとしている。
類似のサービスを提供するスケールAIは今年に入り、メタ・プラットフォームズから140億ドル(約2兆1000億円)超の出資を受け、企業価値は290億ドル余りと評価された。
ウーバーのデータサービス事業を担うウーバーAIソリューションズは、他社にサービスを売り込んでおり、AI開発の一部を独立事業者に外注するよう促している。昨年後半には、コーディングや翻訳といった単発の仕事に対応する人材を20カ国余りで募集するウェブベースのプラットフォームも立ち上げた。
カンサル氏はインタビューで、新たなデジタルタスクについて、今後の自動運転車の普及に伴って、ドライバーが職を失う事態に備える対応策というよりも、ドライバーが収入を得る手段をより多く持てるようにし、ウーバーアプリへの運転手の呼び込みを続けるための取り組みだと指摘した。
カンサル氏によれば、ウーバーは今回のタスクをインドで先行試験しており、米国での展開に向けた準備を進めている。将来的には、こうした作業をドライバー以外の人々にも開放することを検討する可能性があるが、当面はプラットフォーム上のドライバーや配達員の収入増を最優先に考えているという。
原題:Uber Giving Some US Drivers Option to Earn Money From Data Tasks(抜粋)
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