欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、ユーロ圏のインフレ率は目標付近で推移しており、来年には景気が持ち直すとの見方を示した。

ラガルド氏は6日、ストラスブールの欧州議会で「インフレ率はECBの目標である2%近辺にとどまる」と発言。基調的な物価上昇圧力も順調に推移しており、「賃金の伸びはいっそう鈍化するだろう」と語った。

また、「関税の上昇、ユーロ高、世界的な競争激化によって輸出が低迷し、年内の成長は抑制される見込みだ」と指摘しつつ、「しかし、こうした成長への逆風は来年には和らぐはずだ。サービス業は成長を続け、経済の基調的な部分で一定の前向きな勢いがあることが景況感調査で示唆されている」と述べた。

ラガルド氏をはじめとする多くの金融当局者は、中銀預金金利を現在の2%からさらに引き下げることに慎重な姿勢を示している。インフレ率が目標の2%付近で推移しており、リスクが上下いずれの方向にも限定的である上、貿易摩擦や戦争などのショックに直面しても経済が底堅さを示しているためだ。

ラガルド氏は「インフレ見通しやリスクバランス、基調的なインフレ、金融政策の波及効果を見渡すと、良い位置にいる」と述べた上で、「ディスインフレの過程は終わり、良い状態にある。この状態を維持するために必要なことを行っていく」と強調した。

また、今後の政策判断は入手されるデータに基づいて行い、将来の措置を事前に約束しないというECBの基本方針を改めて確認した。

ユーロについては、地政学的変化と政策の不確実性が高まる中で、国際的地位を高める好機が訪れていると強調した。

「この変化する状況の中で、ユーロの国際的な役割を強化する環境を整える絶好の機会がある」とし、それは「目に見える恩恵をもたらすだろう」と語った。

原題:Lagarde Sees ECB on Target With Growth Headwinds Fading Soon (2)(抜粋)

(4段落目以降に発言や背景などを追加して更新します)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.