ニデック株が22日の取引で一時前週末比7.3%高の2143円を付け、11月11日以来の日中上昇率となった。創業者の永守重信氏(81)が19日付で、グローバルグループ代表や代表取締役を辞任した。同社の企業文化改革の進展に期待する見方もあり、買いが先行している。

19日の発表によると、永守氏の辞任は本人の意向によるものだという。取締役会議長の役職からも離れ、後任には岸田光哉社長が就任した。永守氏は非常勤の名誉会長となった。

ニデックでは不適切会計疑惑を巡って第三者委員会の調査が進められており、10月には東京証券取引所から特別注意銘柄指定を受けた。永守氏は辞任に際して公表した声明で、ニデックの企業風土に問題があると指摘されることがあるとした上で、創業者として企業風土も含めて会社を築き上げてきた立場として、「申し訳なく思っている」とコメント。自らが経営から身を引き、岸田氏に「すべて委ねる」ことでニデックが再生できると信じていると述べた。

シティグループ証券のアナリスト、内藤貴之氏は英文リポートで、市場がこの辞任をどう受け止めるかは分かれるが、永守氏の代表取締役退任が改革を加速させるという見方も出てくるだろうとの見方を示した。一方で、経営陣が疑われる会計不正に関与したか否かなど第三者調査委員会の回答が得られるまでは、株価の上昇余地は限定的だとみる。

岩井コスモ証券のアナリスト、斎藤和嘉氏は短期的には悪材料の出尽くしとみる投資家もいるかもしれないが、第三者委の調査が越年(えつねん)する中で「基本的には長期投資家は今日はまだ動かないのではないか」と指摘した。永守氏は依然として筆頭株主であり、影響力が残るリスクもあるとした。

永守重信氏

永守氏が1973年に創業したニデックは、永守氏の猛烈なハードワークと成長やコスト削減への厳しい経営哲学が源泉となって成長してきた。ただ足元では子会社の関税未払いをはじめ、不適切会計の疑いが相次いで浮上しており、岸田氏が主導して短期的な収益にこだわり過ぎる企業風土を改善すると表明していた。

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