(ブルームバーグ):6日の日本株市場では、東証株価指数(TOPIX)銀行業指数が逆行安。金融引き締めに慎重な高市早苗前経済安全保障担当相が自民党総裁に就任し、日本銀行の追加利上げが遠のくとの見方から銀行売り・不動産買いの「高市トレード」が再燃した。
三菱UFJフィナンシャル・グループ株は一時3.4%安の2235.5円と1カ月ぶりの日中安値をつけた。みずほフィナンシャルグループは一時2.6%安まで売られ、三井住友フィナンシャルグループ株も一時2.5%安となった。一方、有利子負債が多く、利上げが遠のけば恩恵を受ける不動産業指数は一時4.9%高と4月10日以来の日中上昇率となった。
事前の報道や海外予測市場では小泉進次郎農林水産相が優勢とみられていただけに、景気刺激を重視する高市氏の勝利の織り込みが急速に進んだ。日経平均株価は一時4.3%高の4万7734円まで急伸し、日中最高値を更新した。
コムジェスト・アセットマネジメントのポートフォリオマネジャー、リチャード・ケイ氏は、高市氏は利上げに消極的なため、日銀利上げ観測の恩恵を受けてきた銀行株は「再び軟調となる可能性がある」と指摘する。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では6日9時半すぎの時点で10月利上げが約20%の確率で織り込まれ、3日時点の57%から低下した。
防衛・原発に追い風
英国で日本株の調査会社を率いるペラム・スミザーズ氏は、高市氏が防衛装備品の生産・販売に関する規制緩和に注力する可能性から、防衛関連株や原子力などの脱炭素エネルギー関連株も政策の恩恵を受ける可能性があると述べた。加えて、「経済安全保障は高市氏にとって一種のスローガンのようなもの」と話し、半導体などの分野で日本の地位を取り戻すことを意味するかもしれず、半導体関連株を押し上げる可能性があると指摘した。
(株価などを追加し更新します)
--取材協力:アリス・フレンチ、堤健太郎.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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