(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのウンシュ・ベルギー中銀総裁は3日、アムステルダムでのイベントで、消費者物価を中期的に2%のインフレ目標に沿って上昇させる上で、ECBの政策運営は適切な水準にあるとの認識を示した。

ウンシュ氏は「我々は本格的に怪物と戦い始め、金利の『完璧な調整』を見つけた」と語り、「非常にうまくやってきた」「今は良い位置にある」と自信を示した。
ECBの政策当局者らは約1年で8回の利下げを行い、中銀預金金利を2%とした。追加の利下げには消極的で、関税や製造業における大規模な人員削減、ロシアによる安全保障上の脅威を受けた経済や物価の反応を注視している。インフレ圧力は、中期的にはほぼ目標水準に収まるとみられ、ラガルド総裁もそのリスクを「かなり抑制されている」と表現している。
ただ、9月はインフレが加速し、ECBが勝利を宣言するにはまだ早いとの慎重論が広がった。ビルロワドガロー・フランス銀行(中銀)総裁は、追加利下げの可能性は排除できないと強調している。
ウンシュ氏は、現時点でのECBの金利政策に満足感を示す一方で、インフレショックの前の、長期間にわたる低金利の影響については批判的だった。
低金利政策は、2015ー22年、物価上昇率を押し上げるための数兆ユーロ規模の資産購入と併せて行われた。当時は不可欠とされたものの、後になって国債買い入れの規模を中心に疑問視された。中央銀行の巨額損失の要因にもなった。
ウンシュ氏は「我々がしたことが、大変に効果的だったとは思わない。長期間にわたり損失を計上し続けることの影響を、ECBは過小評価していた」と述べた。
原題:ECB Rates in Good Place to Deliver Stable Inflation, Wunsch Says(抜粋)
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