イスラエルのネタニヤフ首相は29日、米ホワイトハウスでトランプ大統領と重要な会談に臨む予定だ。パレスチナ自治区ガザでの戦闘を終結させる計画が完成に近づいているとの見方が浮上している。

両者の会談はトランプ氏の大統領復帰から4度目。トランプ氏は先週ニューヨークで中東諸国首脳らと会談した際に、戦闘終結に向けた21項目の提案を共有している。

トランプ氏は28日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「われわれは中東で大きなことを実現するチャンスがある。全ての関係者が特別な取り組みに向けて一致している。これは初めてのことで、われわれはやり遂げる」と投稿した。

もっとも、トランプ氏の発言通りに実現するとは限らない。イスラエルとイスラム組織ハマスの双方は計画を精査する必要があるとしている。イスラエルの高官は26日の米メディアへの説明で、イスラエルは29日の会談後にコメントすると述べた。一方、ハマス側は計画をまだ確認していないとした。

米紙ワシントン・ポストとニュースサイト「タイムズ・オブ・イスラエル」の報道によれば、同計画ではハマスが死者を含む48人の人質を48時間以内に解放する一方、イスラエルは軍事作戦を停止し部隊を段階的に撤退させるという。さらにイスラエルはパレスチナの囚人を解放し、ガザへの人道支援を大幅に拡充することに同意するという内容だ。

また、ハマスが武装解除し、パレスチナの統治に関与しないことに加え、暫定政権の樹立、学校やモスクにおける過激思想排除も盛り込まれている。

イスラエル当局はこの内容について肯定も否定もしていない。匿名のイスラエル高官の1人は、報道の一部は偽の観測気球に過ぎないと述べている。

ガザへの攻勢を強め、ハマスの軍事拠点壊滅を目指すイスラエルは、ガザ市で暮らす100万人のうち70万人を退去させ、ハマスの設備があると主張する高層ビルや戦闘員が利用する地下トンネルの破壊を続けてきた。

来週で開戦から2年を迎える戦争では約6万6000人のパレスチナ人が死亡したと、ハマスが運営する保健省は発表している。

イスラエルの高官は米メディアに対し、戦争終結に向けた5条件を明かしている。それはハマスの武装解除、人質全員の解放、ガザの非武装化、イスラエルによる安全保障の掌握、ヨルダン川西岸の一部を統治するパレスチナ自治政府でもハマスでもない統治機構の設立という内容だ。

これらの条件は、イスラエル軍の全面撤退および武装解除の拒否などを求めてきたハマス側の要求と相反するものだ。ハマスはイランの支援を受けており、米国と欧州連合(EU)からテロ組織に指定されている。

イスラエルはここ3年で右傾化を強め、ネタニヤフ氏が率いる連立政権にはガザ地区やヨルダン川西岸の併合を求める民族主義者が加わっている。同西岸地区には約60万人のイスラエル人入植者と約300万人のパレスチナ人が暮らしている。

トランプ氏は先週、イスラエルによるヨルダン川西岸の併合は認めないと発言している。イスラエルの高官は26日、この件についてコメントを控えた。イスラエルの複数の閣僚は、パレスチナを国家として承認する世界的な動きやイスラエルが孤立していることへの適切な対応として同地区の併合を求めている。

原題:Netanyahu to Meet Trump as US Intensifies Gaza Ceasefire Push(抜粋)

--取材協力:Fares Alghoul.

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