ニデック株が一時前週末比4.8%安の2510円を付けた。子会社の会計処理問題で遅れていた前期(2025年3月期)の有価証券報告書を26日に提出したが、監査法人のPwCジャパンが意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手できなかったとして、監査意見を表明しなかった。

シティグループ証券の内藤貴之アナリストはリポートで、有報を提出できない状態が続くという最悪の事態は回避されたものの、監査法人が「意見不表明」としたことや第三者委員会による調査結果がまだ公表されていないことなどを踏まえると「現時点で悪材料がすべて出尽くしたとは言いがたい状況」だと指摘。調査結果が公表されるまで株価は低迷するとみている。

二デックは6月、イタリア子会社の問題を調査するため、有報の提出期限を9月26日に延長。9月にはニデック本体やグループ会社の経営陣の関与・認識のもとで不適切な会計処理が行われたことを疑わせる資料も見つかったと明らかにしていた。ニデック株は9月に入ってから株価は約20%下落している。

二デックが26日に発表した資料によると、別の不適切処理が疑われる案件も判明した。中国の子会社を調査する過程で、新たに別の子会社が中国に無償で輸出した中古品について、申告価格を正当な理由なく低く設定し、関税申告していた疑いがあるという。

このほか、スイスの連結子会社が必要な登録手続きを行わずに輸出取引を実施していた疑いなども浮上。社内で事実関係の確認と対応を進めているという。ガバナンス不全が相次いで明らかになっており、株価や業績への悪影響は当面続きそうだ。

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