米国で投資家が上場投資商品(ETP)に殺到している。極端な低水準にある株式市場のボラティリティーが今後拡大すると見込んでいるためだ。急上昇で利益を得る好機をうかがう一方、市場特有の仕組みによりリターンは目減りしている。

シカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX)先物に連動するバークレイズの上場投資証券(ETN)「iパス・シリーズB・S&P500種VIX短期先物ETN(VXX)」は、資産残高が年初来で4倍強に膨らみ、10億ドル(約1490億円)超に達した。株価の歴史的な上昇相場が崩れれば、ボラティリティー急伸で大きな利益が得られるとの期待がある。

だが、これら商品には、長く保有する投資家を待ち受ける落とし穴がある。将来の市場変動が現在より大きくなると市場が織り込む局面では、資金が目減りする。商品に資金が流入して資産が増えるほど、こうしたキャリーコストは重くのしかかる。

 

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のシニア上場投資信託(ETF)アナリスト、エリック・バルチュナス氏は、VIX連動ETPを「チェーンソー(電動のこぎり)」に例える。特定の用途では非常に有効だが、「大けがをしかねない」と語る。

VIX急伸をうまく捉えれば、リターンは非常に大きい。例えば米国が大規模な関税を発表する直前の4月1日に、ボラティリティー・シェアーズの「2xロングVIX先物ETF(UVIX)」を購入し、同月8日に売却していれば、3倍のリターンを得られた計算だ。

ただ、そうしたリターンを得るには、売買のタイミングが的確でなければならない。ブルームバーグがまとめたデータによれば、UVIXを過去1年間保有していれば、78%の損失を抱えていることになる。

リトル・ハーバー・アドバイザーズの共同ポートフォリオマネジャー、マイケル・トンプソン氏によれば、「これらは価格が大きく跳ね上がる可能性があり、ほぼオプションのようなものだ」が、満期はない。

原題:Investors Pile Into Funds Betting on Elusive Market Volatility(抜粋)

--取材協力:Elena Popina.

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