(ブルームバーグ):旧ソ連の東欧モルドバで28日に実施された議会選挙は親欧派の与党が勝利し、欧州連合(EU)加盟路線を維持する見通しとなった。同選挙への干渉疑惑が浮上していたロシアとの緊張が高まる恐れもある。
サンドゥ大統領率いる政権与党「行動と連帯(PAS)」は、得票率が50.2%と2期目の政権維持に必要な過半数の議席を確保。ドドン元大統領が率いる親ロシア派「愛国者ブロック」は24.2%にとどまった。

次期政権は目標とする2030年までのEU加盟に向けて改革を続ける必要がある。
選挙結果は、親ロシア勢力による政権樹立を目指して巨額の資金を投じ、さまざまな工作を仕掛けたとされるロシアには大きな痛手だ。
モルドバを巡ってはロシアが自らの勢力圏に引き戻そうとする一方で、欧州側はEU加盟を約束して対抗するという綱引きが続いている。
フランスのマクロン大統領、ドイツのメルツ首相、ポーランドのトゥスク首相は共同声明を発表し、「大がかりな票の買収や偽情報の拡散などロシアによる前例のない介入にもかかわらず、選挙を平和に実施したモルドバの社会と当局を称賛する」と述べた。
サンドゥ氏は、今回の勝利はモルドバの司法制度を刷新する必要性を示していると指摘。EUの基準を満たすためだけでなく、同国の制度がロシアの圧力を受けているため法の支配を強化しなければならないと強調した。
「モルドバの制度は強じんさを増したが、まだすべきことが残っている。今回のような状況や攻撃の下で選挙を繰り返すことはできない」とサンドゥ氏はキシナウで記者団に語った。
ドドン氏は議会前で抗議デモを組織し、不正があったと疑われる地域の選挙結果について争う意向を表明。裁判所の判断が出るまで結果を認めないと述べた。
現地メディアによると、デモには約300人が参加した。参加者には金銭が提供されているとの情報を得ていると、警察はデモに先駆けて発表していた。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は、ドドン氏の名前は出さなかったものの選挙結果に異議が提出されていると述べ、投票所が少な過ぎたためロシア在住の「数十万人」が投票できなかったと主張した。モルドバ当局によると、ロシアに住むモルドバ人は約20万人に上る。
ロシアが選挙への干渉を試みているとの疑惑が浮上する中、ウクライナのゼレンスキー大統領は先週、世界の指導者に対しモルドバへの支持を呼びかけていた。
また、ブルームバーグは先週ロシアが今回の選挙に干渉し、EU加盟路線を妨害するためにさまざまな戦術を計画したと報じた。その内容は、大勢の人々を動員した破壊的なデモやソーシャルメディアでの偽情報の拡散など多岐にわたるという。
モルドバ当局は、選挙プラットフォームや政府のクラウドを含むデジタルインフラに対して週末に複数のサイバー攻撃があったが、検知して無力化することに成功したと発表した。
EUはモルドバの欧州統合を後押しするため向こう数年間の資金として過去最大の18億ユーロ(約3140億円)を拠出。ロシアのウクライナ侵攻以降、モルドバのロシア産エネルギーに対する依存を引き下げる取り組みも支援してきた。
原題:Moldova Chooses Pro-EU Majority in Face of Russian Meddling (1)(抜粋)
(各国やサンドゥ大統領の反応などを追加して更新しました)
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