韓国の半導体株は、バリュエーション(株価評価)が正当化しにくい水準にまで上昇しており、わずかな悪材料でも急落するリスクがあると、調査会社モーニングスターのジンジエ・ユー氏が指摘した。ユー氏はSKハイニックスとサムスン電子の両方に「売り」の投資判断を付けている唯一のアナリストだ。

モーニングスターの弱気な見通しは、約1カ月前に初めて公表された時にはほとんど注目されなかった。だが、テクノロジー大手による人工知能(AI)分野への積極的な投資に厳しい目が向けられる中、新たに関心を集めている。投資家心理の変化は世界のハイテク株に激しい値動きをもたらし、今年の人気テーマにほころびが見え始めている。

株式アナリストのユー氏(シンガポール在勤)は「投資家の信頼感は非常に不安定だ」とし、「期待がこれほど高いと、相場をさらに押し上げる材料は全てそろっていなければならず、失望感を招きやすい」と語る。

SKハイニックスとサムスン電子の株価は韓国総合株価指数が今年70%強上昇する原動力となったが、先週には数カ月ぶりの大幅下落を記録した。両銘柄はその後、下げをかなり取り戻したものの、両銘柄に資金を投じていた投資家は今回の下落で動揺した。

ユー氏によると、SKハイニックスとサムスン電子は、AI向けを中心とする高帯域幅メモリー(HBM)の需要急増で恩恵を受けてきたが、こうした投資ブームが長続きする保証はない。

クラウドサービスを大規模展開するハイパースケーラーによるAI投資は「現在、非常に高い水準に達しており、この勢いが持続するか懸念している」と語った。過去1カ月の株価上昇は、オープンAIによる投資コミットメントが背景にあるものの、その約束がどれほど「確実」かは不透明だとした。

 

原題:Lone ‘Sell’ Analyst on Korean Chip Giants Warns of AI Exuberance(抜粋)

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