中国では一日中、寝室にこもって生活する「ネズミ人間」と呼ばれる若者の動画が相次いでSNSに投稿されています。こうした若者の増加に危機感を抱いた政府が取り締まりに乗り出しました。

これは、とある若者の一日を映した動画です。昼過ぎまで眠り続け、午後になってからも布団から出ず、スマホをいじりながら出前で食事をすませます。

その後は、ゲームを楽しんだり、ドラマを見たり、合間に家事をしたりしながら、朝方までずっとゴロゴロ過ごします。

いま、中国のSNSには一日中、部屋にこもり、昼と夜が逆転した生活を送る若者たちの動画が多数、投稿されています。こうした若者たちは「ネズミ人間」と呼ばれ、エネルギーを使わない消極的な生活の象徴として捉えられています。

記者
「中国のSNSなんですけれども、ネズミ人間というキーワードをいれて検索をかけますと、たくさんの動画が出てきます」

こうした動画が増えている背景について、「中国社会の激しい競争や過度なプレッシャーへの抵抗」という指摘もあります。

動画を投稿しているこちらの女性は。

動画を投稿する女性
「家で省エネな状態でいることが悪いとは思っていません。一時的に休みモードになりたいだけなのです」

こうした「ネズミ人間」の増殖に危機感を抱いたのが中国政府です。

22日、政府は「ネズミ人間」のような消極的な感情をあおる動画投稿を2か月間、集中的に取り締まると発表。内容によってはアカウントを閉鎖するなどの強硬措置にでるとしています。

中国政府としては無気力な若者の動画が拡散し、社会の秩序が乱れるのを防ぎたい狙いがあります。

中国メディアも「ネズミ人間」が注目を集めていることに危機感を示しています。

中国メディア
「労働者の努力と継続に対する肯定感を弱めることになる」

取り締まりキャンペーンについて街の人は…

北京市民
「良いと思います。消極的な情報が多いので、少し規制して、みんながもっと前向きになれるといいです」
「あまり賛成しません。こうした取り締まりはやりすぎになりがちで、担当する人もどこまでが適切か判断が難しいと思います」

増殖する「ネズミ人間」。今回の措置には、動画消去という強硬手段に出ざるをえない中国政府の焦りがありそうです。