フランスのマクロン大統領は、クシュナー駐仏米大使が先月、フランスの反ユダヤ主義対策は不十分だと公然と批判したことについて、「米国外交の評価を落とすものだ」と述べ、強く非難した。

マクロン氏は21日に放送されたCBSの番組「フェース・ザ・ネーション」のインタビューで、「これは誤りであり、外交官として容認できないコメントだ」とした上で、「外交官であるならば、外交のルールに従わなければならない」と指摘した。

クシュナー駐フランス米大使

クシュナー氏は8月、「エマニュエル・マクロン大統領への手紙」と題する米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)への寄稿文で、「フランスにおける急激な反ユダヤ主義台頭と、政府がそれに十分対処していないことに対する深い懸念」が執筆の動機だと述べた。この主張について、仏外務省は容認できないとする声明を出していた。

マクロン氏は同番組で、自身が進めてきた反ユダヤ主義対策を擁護し、米国の税金がこうした発言をする人物のために使われるのは不適切だと指摘した。

クシュナー氏はユダヤ系の不動産開発業者で、トランプ氏の娘婿ジャレッド・クシュナー氏の父。かつて脱税や証人への不当な働きかけなどの罪で1年余り連邦刑務所に服役したが、2020年にトランプ氏から恩赦を受けた。

フランスでは、23年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃と、それに続くイスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザでの軍事作戦を受け、反ユダヤ主義的な事件が増加している。米ホロコースト記念博物館によれば、仏国内ではホロコーストのメモリアル施設、シナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)、ユダヤ人経営のレストランなどが標的となっている。

原題:Macron Says US Envoy Kushner’s Comments Broke Rules of Diplomacy(抜粋)

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