(ブルームバーグ):トランプ米政権の当局者は解熱鎮痛剤「タイレノール」の有効成分を自閉症と結びつける方針を固めたと、米紙ワシントン・ポストが事情に詳しい関係者の話として報じた。
タイレノールは世界で最も広く使われる市販鎮痛薬の一つ。同紙によると、当局者は妊婦に対し、発熱時を除いて同薬の使用を控えるよう警告する計画だ。
同政権がタイレノールの成分であるアセトアミノフェンと自閉症の関連を調査していると以前伝えられた際には、製造元ケンビューの株価が下落した。
ケンビューは21日、発表資料で「独立した健全な科学」により、アセトアミノフェンの使用が自閉症を引き起こすことはないと示されていると指摘。「事実、過去10年以上にわたる厳密な研究は、主要な医療専門家や世界の保健当局により支持されており、アセトアミノフェンと自閉症を結びつける、信頼できる証拠は存在しない」と強調した。
トランプ米大統領は21日、自閉症を巡り22日に自身の会見を開くと述べ、「これまでで最も重要な記者会見の一つになる」と強調した。
大統領は保守系活動家チャーリー・カーク氏の追悼式典で「われわれは自閉症の答えを見つけたと思う」とし、「明らかに何か問題がある。われわれはそれが何か分かったと思う」と語った。
ワシントン・ポストはまた、政権が別の薬剤ロイコボリンを自閉症の潜在的な治療薬として推奨する方針も報じた。ロイコボリンは通常、がん治療で他の薬剤による副作用を抑えるために使用される処方薬。
2023年には、ニューヨーク・マンハッタンの米連邦地裁が、市販のタイレノール服用が自閉症を引き起こしたとする訴訟について、科学的根拠を退けた。
さらに24年に発表された研究では、1995-2019年にスウェーデンで生まれた約250万人のきょうだいを分析した結果、妊娠中に母親がアセトアミノフェンを服用しても自閉症リスクの上昇は確認されなかった。
原題:Trump Administration to Link Tylenol to Autism, WaPo Reports (3)(抜粋)
--取材協力:Jennifer A Dlouhy、Maria Paula Mijares Torres、Jessica Nix、Madison Muller.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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