欧州中央銀行(ECB)は、インフレの下振れリスクを回避し、経済成長が期待を下回らないようにするため、12月に再び利下げを実施すべきだ。ECBの政策委員会メンバーであるシムカス・リトアニア中銀総裁がこう主張した。

シムカス氏は、そうした措置を取らなければ、消費者物価上昇率が2%目標を下回るリスクがあると指摘し、目標をオーバーシュートするのではないかとの見方を否定した。

「リスク管理の観点からすれば、利下げしないよりした方がよい」とコペンハーゲンでのインタビューで語り、「インフレ目標の達成に役立ち、経済にもプラスになるため、12月に利下げを実行し、その後は様子を見るべきだ」とした。

 

一部の当局者はシムカス氏と同意見の可能性があるものの、ECBが金利据え置きを決めた11日の政策委員会会合以降に発言した当局者の大多数は、金融政策を当面は現状維持とみている。ラガルド総裁は、借入コストが物価安定の確保に「良い位置」にあると指摘しており、この表現は他の多くのメンバーも使っている。

そのため、かつては追加緩和を見込んでいたエコノミストたちも、追加措置の可能性を否定するようになった。金融市場も追加利下げの織り込み幅を減らしている。

一方、ビルロワドガロー・フランス銀行(仏中銀)総裁は、追加利下げの可能性を排除できないとしている。同総裁によれば、直近の委員会会合では複数のメンバーがインフレの下振れリスクを指摘したという。

今回のシムカス氏の発言は、同氏がその一人だったことを示唆している。

シムカス氏は「中期的にインフレが目標を下回らないと考えるのは難しい。2028年の予測は確実に2%を下回ると私は見ている。インフレが目標を上回るシナリオを想定するのは困難だ」とした。

原題:ECB Needs December Cut to Safely Reach 2% Inflation, Simkus Says(抜粋)

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