ロンドンのヒースロー空港など欧州の主要空港で、航空会社のチェックインや搭乗システムを提供する主要プロバイダーがサイバー攻撃を受け、混乱が広がった。職員が手作業で乗客に対応せざるを得なくなり、遅延や欠航が生じた。

ブリュッセル空港は、19日遅くに起きたサイバー攻撃で、欧州大陸の複数の拠点に影響が出ていると発表。空港に向かう前に航空会社の運航状況を確認し、チェックインに余裕を持つよう利用客に呼び掛けた。

コリンズ・エアロスペースは20日、「サイバー関連の障害」が同社のソフトウエア「MUSE」で発生し、一部空港で遅延が発生していると認めた。

今回の混乱は、世界の航空業界が少数のテックサプライヤーに依存し、単一の障害が欧州で最も混雑する複数の空港に波及しかねない現状をあらためて思い起こさせた。

犯行声明は出ておらず、攻撃の主体は現時点でなお不明だ。

航空会社や空港の電子チェックイン、搭乗、手荷物預け入れを支援するMUSEで障害が発生した影響で、セルフ式手荷物預け入れシステムなどが使えなくなり、有人カウンターでの手作業の対応に切り替えられた。

航空データ会社シリウムによれば、ロンドン・ヒースロー、ベルリン・ブランデンブルク、ブリュッセルの各空港では20日に合計で出発便16便と到着便13便が欠航した。このうちヒースロー空港が出発便7便、到着便5便と約半分を占めた。

原題:Heathrow, Berlin Airports See Delays After Cyberattack (3)(抜粋)

--取材協力:Yi Wei Wong、Siddharth Philip、Jordan Robertson.

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