(ブルームバーグ):小泉進次郎農相は20日午前、自民党総裁選への立候補を正式に表明した。直ちに物価高対策を策定し、今年度補正予算を臨時国会に提出する方針を示した。物価安定と経済成長に政府・日銀の連携も重要と語った。
都内で開いた記者会見で小泉氏は「自民党を1つにする。政治を前に進める。その先頭に立つ決意で、総裁選に立候補する」と発言。物価高対策などで与野党合意を模索するとし、政権枠組みの在り方も議論すると述べた。

会見に先立って発表した主要政策では、物価や賃金の上昇に合わせた基礎控除などを調整する仕組みを導入する所得税制の見直しや、与野党合意に基づいたガソリン暫定税率の速やかな廃止を盛り込んだ。小泉氏は会見で、自民党が先の参院選の公約に盛り込んだ現金2万円給付の実現は難しいとの見解を示した。
また、「デフレ時代への縮み志向からインフレ時代の新たな経済運営」を提唱。2030年度までに国内投資135兆円・平均賃金100万円増を目指すとしている。政策では財政規律を意識しつつ、インフレ下の税収増を活用した経済成長の実現を明記した。設備投資の即時償却の拡大や研究開発税制の強化なども盛り込んだ。
今回の総裁選は石破茂首相と昨年、決選投票を争った高市早苗前経済安全保障担当相と3位につけた小泉氏を軸に展開する構図だ。小泉氏は当面の物価高対策などに取り組む姿勢を示す一方、昨年の総裁選で打ち出し、保守層から反発を受けた選択的夫婦別姓制度の導入は主要政策から外れた。
金融政策については、日銀と政府が物価安定と経済成長に向けて歩調を合わせることが重要だとし、「仮に私が総理・総裁になったら、経済政策の方向性はしっかりと理解いただきたい」と日銀に要請した。エネルギー政策については日本の低いエネルギー自給率を踏まえると、再生可能エネルギーと原子力をいかにフル活用するかということが現実的となっている状況だとした。
保守層から反発を受けた選択的夫婦別姓制度の導入は主要政策から外れた。小泉氏は会見で夫婦別姓に関し、人生の選択肢を拡大することに賛成の立場であり、引き続き議論と理解を深めていきたいと語った。
石破首相の辞任表明に伴う今回の総裁選は22日告示、10月4日投開票で実施される。小泉、高市両氏に加え、茂木敏充前幹事長、小林鷹之元経済安保相、林芳正官房長官を加えた5人が立候補を表明した。物価高対策、米関税措置への対応、少数与党の国会運営で連立拡大を含めた野党との連携の在り方などが争点になる。
党所属国会議員の295票と同数に換算した党員・党友票の計590票を争う。小泉氏の陣営には、前回の総裁選に出馬していた加藤勝信財務相が選対本部長として入るほか、河野太郎前デジタル相も支援に回る。
小泉氏は自民党の農林部会長や厚生労働部会長などを歴任。環境相や党選挙対策委員長なども務めた。農相就任以降では、コメ価格の引き下げや増産への転換方針を打ち出した。初めての挑戦だった昨年総裁選の公約では、「強い経済」を取り戻すとした上で、物価高対策の必要性などを訴えていた。
主な政策内容や発言は以下の通り
- 防衛費の対GDP比2%を着実に実現
- 日米同盟を基軸とした同志国ネットワークの強化
- 医療・介護・保育・福祉・教育などで公定価格分野で物価上昇を上回る処遇改善を実現
- 全ての世代が安心できる全世代型社会保障制度の実現
- 新エネ基本計画に基づき経済効率性向上と環境への適合図る
- 半導体・レアアースなど重要物資のサプライチェーン強じん化
- 意欲あるコメ生産者が不安なく増産に取り組める体制を構築
- 憲法改正を発議し、国民投票を実施する-自衛隊明記や緊急事態対応など軸に与野党で論議
- 北朝鮮との対話もオープンな姿勢で臨む
(詳細を追加し更新します)
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