アジア時間18日午前の取引で米株価指数先物は上昇。米連邦公開市場委員会(FOMC)定例会合での利下げ決定を受けた動きだが、今後の緩和ペースを巡る不透明感はくすぶっている。

S&P500種株価指数およびナスダック100指数の先物はいずれも0.3%高。17日の現物指数は小幅安だった。米国債は下げの一部を取り戻し、ドル指数は続伸した。パウエルFRB議長は今回の措置を「リスク管理の利下げ」と表現。アジア市場では日本と韓国の株式が上昇した一方、オーストラリアは停滞した。

ニュージーランド国債は上昇。軟調な経済指標を受け、大幅利下げ観測が強まった。

FOMC会合を前に0.25ポイントの利下げ期待が高まったことで、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)は今週に入り、過去最高値を更新。実際に利下げが決定されたものの、当局者は政策判断を「会合ごと」に行うと強調し、「リスクのない道筋は存在しない」と警告した。それでも、当局者は年内に0.25ポイントの追加利下げを2回実施する見通しを示した。これは6月時点の予測より1回多い。

オルタス・アドバイザーズの日本株戦略責任者のアンドリュー・ジャクソン氏は、市場は「ほとんどの指数が過去最高値かそれに近い水準にあるにもかかわらず、FOMC会合を受けても利益確定の動きはほとんど見られない」と指摘。ハイテク株やAI関連株の上値を追う展開が続くと述べた。

パウエル氏は関税によるインフレ懸念から今年据え置いてきた政策金利を巡り、今回引き下げに踏み切る時期だと当局者ら判断した理由として、労働市場に軟化の兆しが強まっていることを挙げた。

シドニーのヘッジファンド、ミノトール・キャピタルの共同創業者、アーミナ・ローゼンバーグ氏は「米金融当局はついに引き金を引いたが、市場の反応は一筋縄ではいかなかった」と言及。「利下げ自体は大きな驚きではなかったが、ハト派的な変更となお慎重なガイダンスが同時に示されたことで、投資家は判断に迷っている」という。

その上で、市場は金融緩和と同時に、根強いインフレや脆弱(ぜいじゃく)な成長シグナル、テクノロジー分野での米中デカップリング(分断)の進行といった逆風にも直面していると述べた。

また、ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのダン・シルク氏は「ドットチャートは年内2回の追加利下げを示唆したが、パウエル氏は労働市場の一段の軟化リスクを考慮して、その重要性を和らげて説明した。メッセージは依然としてニュアンスに富み、完全な方向転換には程遠い」と語った。

原題:US Stock Futures, Dollar Rise After Fed Rate Cut: Markets Wrap(抜粋)

--取材協力:アリス・フレンチ、Carmeli Argana、Winnie Hsu.

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