米ジョージア州のバッテリー工場で大規模な不法移民の摘発が行われたことを受け、現地では工場の労働者が出勤を控え、作業が遅延するなどの混乱が続いている。

同州カーターズビルで建設中のバッテリー工場で機器の取り付けを担う韓国人エンジニアらには有給休暇を取得させていると、ウーウォン・テクノロジーのケン・シム社長は語った。摘発に伴うストレスを和らげるためだという。同工場は韓国の現代自動車とSKオンが工事を進めている。

米国市民として10年以上暮らすシム氏は、従業員全員が合法的に働いており、現地雇用者の訓練や機器の取り付けなど限られた仕事のみ許可されるビザを保持していると強調した。

現代自動車とLGエナジーソリューションも同州サバンナ市近郊にある工場で労働者や下請け業者を同様のビザの下、働かせていた。合法的だという認識だったものの、結果的に移民・関税執行局(ICE)の職員らによって300人以上の韓国人を含む475人が拘束される事態となった。少なくとも一部が不法就労していたと疑われている。

シム氏は「みんな出勤しなくなった。今はホテルや家で過ごしている」と明かし、自分の従業員には一週間の休暇だと思って買い物でもして過ごしてほしいと伝えたという。

シム氏によると、SKはビザを保有する何人かの従業員に対し、法的立場がはっきりするまで米国内の作業現場に来ないよう指示したという。ジョージア州で働く同氏の従業員は、ウォルマートなどで移民捜査官が職務質問してくるといったうわさを聞き、身を潜めていると明かした。アドバイスとしてビザとパスポートを携帯するよう伝えているという。

SKやホワイトハウス、米国土安全保障省は問い合わせに対してコメントしなかった。

摘発後、トランプ大統領は米国に投資する外国企業に移民法を尊重するよう求めたうえで、複雑な製品や機械を製造する仕事において、外国人の専門技術者が米国人を訓練する必要性を認めている。

米オハイオ州でホンダとの合弁の一環としてバッテリー工場を建設中のLGエナジーソリューションは、米国内にある他の工場の建設を継続しているが、ビザの状況が不透明な外国人技術者の支援なしで進めていると説明している。

「これはおおむね対応可能であり操業を妨げるものではない」と、同社北米法人のロバート・リー社長はデトロイトで16日に開いた会議で語った。また、「さまざまなシナリオに関係なく対応できる計画を見つけなければならない。現在そのための対応を進めている」と述べた。

原題:Raid on Georgia Battery Factory Forces Koreans Into ‘Vacation’(抜粋)

--取材協力:Josh Wingrove、Myles Miller.

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