(ブルームバーグ):ヘッジファンド会社、ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏が自身のファミリーオフィスで投資運用を開始する。巨額資産形成の源となったブリッジウォーターから、ついに身を引く。
ダリオ氏はダリオ・ファミリー・オフィスの事実上の最高投資責任者(CIO)に就任したと明らかにした。同職を務めていた元ウォール街幹部のマーク・バウムガートナー氏が昨年、予期せず退任したことを受けた形だ。

「私のファミリーオフィスを本当に強固なものにしたい」とダリオ氏はブルームバーグ・ニュースに発言。コネティカット州ウェストポートを拠点とする同オフィスで投資運用を担っているかとの質問に答えた。「少なくとも現時点では、最終的な責任を負うのは私だ」と述べた。
ダリオ氏(76)は最近、ブリッジウォーターとの最後のつながりを断ち切り、キャリアの新たな章を歩み始めている。元商品トレーダーの同氏は1975年にニューヨークの自宅アパートでブリッジウォーターを創業。同社を世界最大のヘッジファンドへと育て上げた。
今年に入り、保有していたブリッジウォーターの株式をすべて売却し、取締役会も退任した。同社にはブルネイの政府系ファンドが別途出資している。ダリオ氏が後継計画を初めて公表したのは10年余り前だが、実際に経営権を全面的に移譲したのは2022年で、この時に議決権を取締役会に譲渡し、共同CIOの1人としての立場も退いた。
ダリオ・ファミリー・オフィスは最近、投資スタッフの求人を掲載した。ダリオ氏と「密接に」連携する「小規模」なグローバル・マクロチームの人員とされている。ブリッジウォーター時代の戦略を踏襲しつつ、過去10年で急拡大した組織をさらに強化する狙いだ。
「今も投資に情熱」
「私は今も投資というゲームに情熱を持っている」とダリオ氏は語った。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、同氏の純資産は約160億ドル(約2兆3000億円)に上る。
昨年のバウムガートナー氏退任以降、ファミリーオフィスに新たなCIOを迎えるのではないかとの臆測があったが、これで終止符が打たれた。バウムガートナー氏はモルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントでインスティテューショナル・ソリューション部門の共同責任者を務めた後、2023年にダリオ氏のファミリーオフィスに加わった。
ダリオ・ファミリー・オフィスは、同氏の個人投資に加え、慈善活動の運営も担う。ダリオ氏は非営利団体オーシャンXを通じて海洋探査などの取り組みを支援している。2003年に設立されたダリオ・フィランソロピーズは、これまでに累計70億ドル超を拠出してきた。
原題:Ray Dalio Embraces Family Office Life as CIO: ‘I’m the Guy’ Now(抜粋)
--取材協力:Devon Pendleton.
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