米労働省・労働統計局(BLS)の局長を務めていたエリカ・マッケンターファー氏は今年8月、雇用統計発表後に突然解任された。ホワイトハウスから届いた公式通知は2行のショートメールで、寝耳に水だった。

BLSが8月1日に発表した7月の雇用統計は弱い内容となり、5月と6月の就業者数の伸びが大幅に下向き改定された。トランプ大統領は数字が政治目的で操作されたと主張。バイデン前大統領が任命したマッケンターファー局長の解任を指示したとソーシャルメディアで明らかにした。

比較的目立たないテクノクラート(高度な知識を持つ行政官)的役職からマッケンターファー氏が公然と解雇されたことで、ウォール街とワシントンでは、米経済のゴールドスタンダード(絶対的基準)とも言うべき経済統計の独立性と信頼性への不安が広がった。

エコノミストや統計学者は、毎月の雇用者数の改定について、調査への回答に時間がかかる企業から追加データの収集を続けたことによるもので、通常の手続きだと説明。最終的に精度を高めると指摘した。

母校のバード・カレッジで、解任後初めて公の場に姿を現したマッケンターファー氏は16日、毎月雇用統計が公表されるいつもの第1金曜日に起きた信じ難い出来事を振り返った。

マッケンターファー氏は統計発表の数時間後に記者からトランプ氏の投稿に関するコメントを求められた。その際、20分前にホワイトハウス人事局から届いていたメールに初めて気付いたという。

「マッケンターファー博士 ドナルド・J・トランプ大統領の代理として、あなたを労働統計局長の職務から即時解任することを通知します。これまでの貢献に感謝します」という内容だった。ブルームバーグが確認した。

マッケンターファー氏は、自身の解任が「危険な動き」であり、「経済に重大な影響をもたらす」と警告。「経済の安定にとって、米連邦準備制度にほぼ匹敵する重要機関の独立性に対する攻撃だ」と非難した。

原題:Former BLS Chief Recounts Shock of Getting Fired Over Jobs Data(抜粋)

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