ラトニック米商務長官は11日、米国が最終的に台湾やスイス、インドと通商合意に達するとの見通しを示した。一方、韓国については合意に至っているものの正式署名がまだ行われていないと述べた。

ラトニック氏は米経済専門局CNBCのインタビューで各国との交渉状況を説明した。

「インドについてはロシア産原油の購入をやめれば解決できるだろう。台湾とは大型合意が控えている。スイスとも恐らく合意に至る」と発言。「それらがまだ残っている国々だ。韓国とは合意に達しているが、実際に文書署名に行き着くか見守る必要がある」と述べた。

今回の発言は、ここ数週間にラトニック氏が指摘した内容に比べ前向きなトーンとなった。これまで関税引き下げ交渉で成果を出せなかった国にも、合意の機会が出てくる可能性を示唆した。

スイスにトランプ大統領は39%の関税をかけた。これは先進国の中で最も高い水準だ。ラトニック氏はこれまで、スイスが医薬品の膨大な対米輸出で不当な利益を得ていると批判してきた。一方、スイスは国内での金精錬などが要因で貿易黒字がゆがんだと主張している。

台湾では、多くの輸出品が20%の関税対象となり、追加関税が半導体産業を直撃する可能性があることから、企業は警戒感を強めている。

一方、米国はインドに対し、ロシア産原油停止を求めている。トランプ政権は早い段階でインドとの通商交渉進展に言及したが、その後、関係が悪化した。トランプ氏は今週、モディ首相と数週間以内に会談すると表明している。

韓国については、韓国側の投資表明と引き換えに米国が自動車関税を引き下げる合意が発表されているが、ラトニック氏は正式署名がまだ行われていないことを確認した。一方、米ジョージア州にある現代自動車とLGエナジーソリューションの合弁工場での不法移民取り締まりを受け、就労ビザ(査証)や今後の対米投資に懸念が生じている。

ラトニック氏は「日本は文書手続きを完了した」とした上で、「米大統領と握手することと、実際にペンを取って署名することは別だ」と強調した。

原題:Lutnick Signals Optimism on Trade With Taiwan, Switzerland (1)(抜粋)

--取材協力:Jan-Henrik Foerster、Fergal O'Brien.

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