(ブルームバーグ):日本と米国は、日本の最東端に位置する南鳥島の周辺海域でレアアース(希土類)の採掘に共同で取り組むことで合意した。この重要鉱物における中国への依存を減らす狙いがある。
高市早苗首相によると、日本は来年1月、南鳥島近海の水深6000メートルからレアアースを含む泥を回収する試験掘削を開始する。同島は東京の中心部から約1950キロ南東に位置し、周辺海域にはレアアースを豊富に含む泥が大量に存在することが調査で判明しているという。
高市首相は6日の国会で、「レアアースの多様な調達手段を確保することは、日米双方にとって重要だ」と指摘。その上で、「南鳥島周辺海域でのレアアース開発についても、日米間の具体的な協力の進め方を検討していく」と語った。
高市首相は、レアアースに関する合意は10月のトランプ米大統領との首脳会談における重要な成果だと述べた。半導体や電気自動車、武器など、さまざまな製品の製造に欠かせない重要鉱物は、中国が米国との競争においてレアアース産業の支配的立場を背景に影響力を行使する中で、世界的な貿易戦争の火種となっている。
他の国々と同様に、日本もレアアースを中国に大きく依存している。中国が供給を遮断すれば、日本の主要産業の多くが大きな打撃を受ける恐れがある。
米国との関税交渉を担当した赤沢亮正経済産業相は先月、中国のレアアース輸出規制が日本の自動車産業に急ブレーキをかける手段として利用される可能性があると警告した。
領土問題を巡る対立で2010年に中国が日本向けレアアース輸出を停止して以降、日本は長年にわたり中国への依存低減に取り組んできたものの、レアアースを巡る課題は解消されていない。
原題:Japan, US to Join Forces to Mine Rare Earths Near Pacific Island(抜粋)
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