電気自動車(EV)メーカー、米テスラで欧州向けのエネルギー取引アルゴリズムを統括していた技術者が退社した。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の「著しく損なわれた」指導力を理由に挙げている。

テスラのエネルギー取引プラットフォーム、オートビッダー(Autobidder)に8年間携わったジョルジオ・バレストリエリ氏はビジネス向け交流サイト(SNS)リンクトインで退社を発表。「イーロンはテスラの使命に大きな打撃を与え、幾つかの国々で民主的制度の健全性も損なった」ためだとしている。

バレストリエリ氏はさらに「これは単なる政治の問題ではない。大衆への虚偽説明や世論操作、少数派への攻撃、それに気候変動を否定する人々や石油・ガス業界とつながった政治勢力を支持することに関わる問題だ」と投稿している。

テスラにコメントを求めたが回答はすぐに得られなかった。

トランプ氏のホワイトハウス返り咲きを支援するために3億ドル(約440億円)を支出したマスク氏は一時、大統領に最も親しい支持者の1人となった。しかしその後、両者は公の場で対立を繰り広げ、マスク氏の事業は打撃を受けた。テスラは7月、トランプ政権によるEVへの補助金打ち切りや輸入関税率の引き上げは同社の自動車とエネルギー事業の逆風になっていると説明した。

バレストリエリ氏はトランプ政権が化石燃料の業界を支えるために行った風力や太陽光発電事業への攻撃について言及し、「現在の米政権がエネルギーの転換を遅らせているのは間違いない。残念ながら気候変動による最悪の影響を回避するにはスピードが極めて重要だ」とも投稿している。

テスラのオートビッダー技術は欧州で成長する蓄電の分野で幅広く活用され、直近では英ハーモニー・エナジーが先月稼働したフランス最大の蓄電池に導入している。

原題:Tesla Engineer Says He’s Quitting Over Musk’s Leadership(抜粋)

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