(ブルームバーグ):日米の財務相は12日、為替に関する共同声明を発表し、為替介入は為替レートの過度な変動に対処するためのものに限定するとの見解を表明した。
共同声明によると、両財務相は為替市場への介入を検討する場合、「過度な変動を伴う、 または無秩序な減価・増価への対応として等しく適切と考えられるとの想定の下、為替レートの過度の変動や無秩序な動きに対処するためのものに留保されるべき」だとの認識で一致した。
加藤勝信財務相は声明発表後に記者会見し、為替について日米間で認識を共有できたことは「大変意義深いものと考えている」と発言。介入については、「今までのやり方に関して影響するものではない」との認識も示した。
日米財務相による声明は、これまで加藤財務相とベッセント米財務長官の間で続けられてきた為替協議の成果物となる。米国が発動した一連の関税措置を巡り、日本側は赤沢亮正経済再生担当相を中心に交渉を進め、7月23日に合意に達した。為替については関税交渉と切り離して財務相間で協議が行われていた。
加藤、ベッセント両氏は5月、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が開かれていたカナダで会談し、「為替レートは市場で決定されるべきであり、ドル・円相場は現時点でファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)を反映しているとの共通の認識を再確認」したとの声明を発表していた。
今回の声明でもこうした認識を踏襲しつつ、競争上の目的のため「為替レートを目標とはしない」ことを明記した。年金基金などによる海外投資についても、為替レートを目標とはしないことで合意した。
オーストラリア・コモンウェルス銀行のストラテジスト、キャロル・コング氏は、声明には市場に対して「市場は大きな反応を示さなかった。為替レートは市場で決定されるべきだということの再確認は、トランプ米政権が年初から10%超下落したドルの現行の水準に満足していることを示唆しているかもしれない」と語った。
日米財務相の共同声明発表後、円は対ドルで一時147円34銭とやや円安方向に振れた。発表前は147円20銭付近で推移していた。
他のポイント
- 日米財務省は、マクロ経済および為替に関する事項について緊密な協議を継続することに合意
- 競争上の目的のために為替レートを目標とはしない、とのG7のコミットメントについての認識を再確認
- 為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与え得ることを再確認
(加藤財務相のコメントなどを追加して更新します)
--取材協力:ジョン・チェン、青木勝、横山恵利香.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.