(ブルームバーグ):米医薬品大手のイーライリリーとデンマークの同業ノボノルディスクは、世界的なヒット商品となった肥満治療薬の大幅値下げと引き換えに、これらの薬品がメディケア(高齢者・障害者向け医療保険制度)の適用対象に加わり、両社は関税面でも優遇措置を受けることでトランプ政権と取引した。
両社と政権のディール(合意)はトランプ米大統領が6日、ホワイトハウスで行われたイベントで発表された。政府高官によると、今回の取り決めにより、リリーの「ゼップバウンド」やノボの「ウゴービ」といった人気の肥満治療薬が、一定の条件を満たした一部のメディケア加入者に低価格で提供される。いずれも世界的に爆発的に
政府高官によると、トランプ政権は輸入医薬品に対して新たな関税を用意しているが、両社の製品はその適用を3年間猶予される。これは過去に他社が結んだ薬価引き下げ合意と同様の条件だという。
トランプ大統領は記者団に対し「これは米国民の勝利だ。何百万人もの命を救い、健康の改善につながる」と述べた。
この合意が発表された数日前、全米各地で行われた選挙では民主党の候補者が軒並み勝利した。これらの選挙は生活費の高騰が重要争点だった。6日の発表イベントは、トランプ氏が生活が苦しい消費者のために価格を下げることに注力していると強調する場となった。世論調査ではトランプ大統領の経済運営に対する不満が浮き彫りになっている。
メディケアはこれまで、肥満治療薬を適用対象とすることを禁じられていた。同プログラムおよびメディケイド(低所得者向け医療保険)の加入者で、前糖尿病や心不全などの症状も併せ持つ患者は、来年から月額245ドル(約3万7000円)でゼップバウンドかウゴービを購入できるようになる。メディケア加入者の自己負担は月額50ドルに設定される予定だ。
メディケアはすでに、心臓関連の症状がある一部の加入者を対象にウゴービを保険適用薬品に指定している。ゼップバウンドとウゴービはいずれも、現在の米販売価格が月1000ドルを超えている。

原題:Lilly, Novo to Lower Obesity Drug Prices in Deal With Trump(抜粋)
--取材協力:Skylar Woodhouse、Lauren Dezenski.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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