米半導体メーカー、ブロードコムは2026年からオープンAIの人工知能(AI)アクセラレーターの設計・製造を支援し、エヌビディアが主導する収益性の高い分野に参入する。

事情に詳しい関係者によれば、両社は来年から同ラインアップの最初のチップを出荷する計画。オープンAIはまず自社内の用途で同チップを使うと英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は先に報じた。

ブロードコムのホック・タン最高経営責任者(CEO)は4日、決算発表後の電話会見で、カスタムアクセラレーター事業で新規顧客を獲得したと述べ、提携をほのめかしていた。タン氏はこの顧客から100億ドル(約1兆4800億円)超の受注を確保したと述べており、関係者はこの顧客がオープンAIだと特定した。

メタ・プラットフォームズやマイクロソフトなど大手テック企業にとって、AI開発にアクセラレーターは不可欠。ブルームバーグ・ニュースは以前、オープンAIとブロードコムが推論チップ設計に取り組んでいると報じていた。

オープンAIの「ChatGPT(チャットGPT)」以降のAI開発ブームの中で、ブロードコムは恩恵を受ける半導体設計企業の一角とされる。タン氏は4日、AI関連事業の見通しについて、26年度には「大幅に」改善すると述べ、成長鈍化懸念の緩和を図った。

同氏はこれまで、26年度のAI関連売上高を今年並みの50-60%増と予測していたが、会見では「即時かつ、相当の需要」を持つ新規顧客の存在により、伸びが「かなり顕著に」加速すると発言。「26年度のAI関連売上高見通しは、前四半期時点の予測から大幅に改善すると見込んでいる」と語った。

ブロードコムの発表資料によると、8-10月(第4四半期)の売上高見通しは約174億ドル。これはブルームバーグが集計したアナリスト予想平均の170億5000万ドルを上回る水準だが、一部では180億ドルを超えるとの予想も出ていた。

AIブームからより大きな成長を期待していた市場にとっては物足りない内容だったことから、決算発表直後の投資家の反応は鈍かった。しかし、電話会見を受けて株価は持ち直し、3%余り上昇した。同社株は4月の安値から2倍超に上昇し、時価総額は約7300億ドル増加している。

 

5-7月(第3四半期)の売上高は22%増の約160億ドル。調整後1株利益は1.69ドルだった。アナリスト予想は、売上高が約158億ドル、1株利益が1.67ドルだった。

AI向け半導体の売上高は52億ドルで、市場予想の51億1000万ドルを上回った。8-10月期には62億ドルに達する見通しで、市場予想は58億2000万ドルだった。

原題:Broadcom to Help OpenAI Create AI Chip to Take On Nvidia、Broadcom CEO Promises That AI Sales Outlook Will Improve in 2026(抜粋)

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