(ブルームバーグ):中国企業が発表した4-6月(第2四半期)決算は、株価急伸を正当化するだけの利益の裏付けが存在しないという厳しい現実を突き付けている。
過去4カ月で2兆7000億ドル(約400兆円)規模に達した株価上昇は、今まさに正念場だ。増益の鈍さが、この株高の持続性に疑念を投げかけている。
中国国際金融(CICC)によると、4-6月に本土上場企業の利益は前年同期比でわずか1.6%増にとどまり、1-3月(第1四半期)の3.5%増から伸びが鈍化した。
手数料収入や株高に関連する利益の恩恵を受けた金融セクターが小幅ながら全体を押し上げた一方で、非金融セクターは合計で損失を計上した。

政府が価格競争の是正に取り組んでいることや、巨額の家計貯蓄が次の成長を後押しするとの期待は、依然として投資家心理を支えている。ただし、マクロ経済指標も低調なままで、アナリストらは、株価の上昇継続には企業利益の回復が不可欠だと警告している。
JPモルガン・チェースの劉鳴鏑チーフストラテジスト(中国株担当)は「前年同期比での伸びは1-3月から4-6月にかけて鈍化した」と述べ、「マクロ動向が弱含んでおり、広範な経済の動きと一致している」と指摘した。
7月は工業生産と投資、小売売上高がいずれも市場予想を下回った。生産者物価指数(PPI)は2年10カ月連続で低下し、企業の利益を圧迫するとともに、消費者心理にも影を落としている。

電気自動車(EV)で中国最大手、比亜迪(BYD)は30%減益となり、激しいシェア争いが続く業界の現状を浮き彫りにした。
こうした圧力は非金融企業の業績にも反映された。CICCのデータによれば、非金融企業の4-6月利益は前年同期比1.6%減と、1-3月の4.2%増から一転してマイナスに転じた。
CICCの黄凱松氏らアナリストは1日のリポートで、強いデフレ傾向と悪化する不動産市場が主な要因だと分析。 不動産大手の万科は、地元の深圳市政府から財政支援を受けたにもかかわらず、1-6月(上期)の赤字幅を拡大させた。
光明
明るい材料もあった。金融セクターが数少ない好調分野となり、人工知能(AI)関連銘柄も投資家の注目を集めた。急成長分野への関与を目指す動きが広がっている。
半導体設計の中科寒武紀科技の株価は、4-6月期が始まって以後ほぼ2倍の水準に上昇。同社株は今月4日に14%下落したものの、AIブームを背景としたチップ需要の急増により1-6月(上期)は過去最高益を記録した。中国政府が国産技術の育成を後押ししていることも追い風となった。
マッコーリー・キャピタルの中国株戦略責任者ユージン・シャオ氏は、短期的には市場に潤沢な流動性があり、他の資産クラスよりも株式への需要が続くと予想しながらも、企業業績を踏まえると、慎重な姿勢も必要だとし、「株価上昇を持続させるには、利益予想の修正が落ち着くことが条件だ」と説明した。
原題:Chinese Earnings Point to Fragility of $2.7 Trillion Stock Rally(抜粋)
(BYDの業績を追加して更新します)
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