(ブルームバーグ):米航空宇宙局(NASA)のダフィー暫定長官は、中国との長年の宇宙開発競争に敗れる結果となれば「非常に驚きだ」と述べ、有人月面探査の再開を目指す米国が中国に先を越されるだろうとの指摘に反論した。
ブルームバーグが入手した音声記録によれば、運輸長官も兼任するダフィー氏は4日、NASA職員向けに行った局全体向けの演説でこの発言を行った。新たに任命されたクシャトリヤ副長官も出席した。
この発言について、NASAと運輸省の担当者に問い合わせたが回答をすぐには得られなかった。
3日の米上院商業委員会の公聴会には、トランプ米大統領の1期目にNASAの長官を務めたブライデンスタイン氏が出席。同氏は中国より先に月面で有人探査を行うことは「きわめて可能性が低い」と述べていた。
この発言に対してダフィー氏は「NASAは中国より先に月に到達できないという昨日の証言は、NASA全体に対する侮辱だった」と主張。その上で「われわれは中国より早く月に到達する。安全を確保して迅速に、そして正しくやり遂げる」と付け加えた。
一方、演説の後半でダフィー氏は、NASAが時には「安全性を前進の妨げにしてしまう」と指摘。「ある程度思い切って」行動できるようにしなければならないと語った。
中国は2030年までに宇宙飛行士を月に着陸させる計画を進めている。国営メディアによると、有人月面探査で使用される予定の新型ロケット試験が最近実施されたという。
こうした中、ダフィー氏はNASAの有人月面探査計画「アルテミス」について、コストを削減する必要があると改めて指摘した。1回の打ち上げに40億ドルかかれば継続は非常に難しいとも述べた。これは21年のNASA監察官による報告書の試算に言及したとみられる。
また、会合では早期退職制度を通じて、NASAの職員約4000人が退職を選択した件も取り上げられた。
ダフィー氏はNASA予算の大幅な削減案に言及。資金が削減されても目標の達成は可能だとしながらも、もし必要があれば政権と議会に追加の予算を求める考えを示した。
原題:Duffy Tells NASA ‘I’ll Be Damned’ If China Beats US to Moon (2)(抜粋)
--取材協力:Sana Pashankar.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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