(ブルームバーグ):日本政府はトランプ米大統領が署名した自動車関税の引き下げなどに関する大統領令の発効日時に関し、最長で2週間後を想定している。訪米中の赤沢亮正経済再生担当相が米東部時間4日、記者団に語った。
赤沢氏は大統領令署名は合意の着実な実施として「歓迎したい」と述べた。その上で、関税引き下げ時期に関しては「確定的にいつということは言えない」としながらも、1週間以内には連邦政府の官報に登録され、発効に要する期間は最大で約2週間との見通しを示した。

日本の基幹産業である自動車関税の引き下げは、日本政府が一連の交渉で重視していた。米大統領令の署名を受け、5日の東京株式相場は自動車や電機、精密機械などの輸出関連を中心に上昇。日経平均株価は一時、取引時間中として8月25日以来の4万3000円台になった。
対米投資で覚書
赤沢氏はラトニック商務長官と上限5500億ドルの対米投資に関する覚書に署名したほか、日米合意を再確認する共同声明をまとめたことも明らかにした。日本にもメリットがあるものを、国際協力銀行(JBIC)などが支援すると説明した。
日本政府が公表した覚書によると、対米投資は経済・国家安全保障上の利益促進が目的で半導体、医薬品、重要鉱物、造船、エネルギーなどの分野が対象。商務長官を議長とする投資委員会が推薦した案件から米大統領が選定する。推薦に先立ち、日米が指名した者からなる委員会でも協議すると明記した。
日本は米側と事前協議を行った上で、独自の裁量で資金提供を行わない選択も可能としているが、その場合は大統領が定める率で単一または複数の関税率を日本からの輸入品に課すこともできるとした。
また、日本が覚書を誠実に履行し、資金提供を怠らないでいる間、米側は7月の日米合意の対象品目の関税率について「引き上げる意図を有しない」とも記述している。投資は2029年1月19日までの間、随時、行われるという。
一方、共同声明は日本が液化天然ガスを含む米国のエネルギーについて年間計70億ドル規模の安定的かつ長期的な追加購入を実施すると明記。米国車に対してクリーンエネルギー自動車入促進補助金を提供することも盛り込んだ。
赤沢氏の他の発言
- 関税は国内産業にダメージ、ずっと気になり続けている
- 資金繰り支援含め必要な対策機動的に行う-関税の影響注視
- トランプ大統領にラトニック氏通じ石破首相の親書、米大統領を日本に招待
- 7月からなんら変わっていない-日米関税合意内容
(覚書の詳細などを追加し、更新しました)
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