オーストラリアと日本が防衛・経済の両面で結びつきを強めている。長年の安全保障の後ろ盾である米国が同盟国に防衛費の増額を求め、アジア太平洋地域が一段と不安定化する中で、日豪は両国間の協力に期待をかけている。

オーストラリア政府は先月、次期フリゲート艦の建造について日本の提案を採用し、三菱重工業を発注先に選定した。日本は最先端の防衛システムを輸出し、関連する防衛機密を初めて他国と共有することになった。日本企業が現地に拠点を設けて艦艇の大半を建造することで、オーストラリアへの投資が拡大することにもなる。

中国の軍事的台頭に対抗するため、日豪政府は防衛予算を拡大している。また、トランプ米政権は同盟国に対し、自国防衛により大きな責任を担うよう圧力をかけている。

鈴木量博駐豪日本大使は、8月にメルボルンで開催された日経フォーラムでのスピーチで、「条約の文言こそないが、われわれは同盟国だ」と語り、今回の合意は「大きな協力の機会」を生み、経済的な波及効果をもたらすだろうと付け加えた。

日豪両国は2023年、自衛隊とオーストラリア軍との間の相互アクセスおよび協力の円滑化に関する協定を締結した。日本はその後、フィリピンなどとも円滑化協定を結んでいる。

日豪両政府は5日、外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を都内で開催する。毎日新聞によれば、第三国での有事の際、自国民の退避で互いに協力する覚書をかわす方針だという。

日豪の結びつき強化は、第2次世界大戦後の米国主導の秩序にトランプ氏が無関心であり、信頼できる中核的な調整役が不在となっているという認識が欧州とアジアで広がっていることを象徴する。

オーストラリアは2034年までに防衛費を対国内総生産(GDP)比2.4%に引き上げる計画で、日本は27年度までに2%を目標としている。ストックホルム国際平和研究所のデータによると、現在のオーストラリア防衛費はGDP比約1.9%、日本は約1.4%となっている。

原題:Fading US Reliability Deepens Australia and Japan Security Ties(抜粋)

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