米アップルでロボティクス分野の人工知能(AI)開発を率いてきた主任研究員が退社し、競合するメタ・プラットフォームズに移った。アップルからはAI人材の流出が続いている。

この研究員、Jian Zhang(ジャン・チャン)氏はメタのロボティクス・スタジオに加わったと、同社が2日に確認した。事情に詳しい複数の関係者によると、これとは別にアップルの大規模言語モデル(LLM)チームからも3人のAI研究者が退社し、AI部門の混乱が一段と広がっているという。

退社が未公表だとして関係者が匿名で明らかにしたところでは、この3人はジョン・ピーブルズ氏、ナン・ドゥ氏、チャオ・モン氏で、いずれもこの1週間に退社した。3人はLLM開発を担う「ファウンデーションモデルズ」チームに属していた。昨年発表されたAI基盤「アップル・インテリジェンス」の開発を中心になって進めた同チームからは最近、責任者を含め約10人が退社したという。

ブルームバーグは先月、アップル社内では、自社開発モデルだけに頼らず外部の技術活用を強めるべきかどうか議論されていると報じていた。

ピーブルズ氏とドゥ氏はオープンAIに、モン氏はアンソロピックにそれぞれ移籍する。同僚の多くは、破格の報酬を提示したメタにすでに移っており、AIモデルチームを率いていたルオミン・パン氏も複数年で2億ドル(約300億円)の報酬パッケージの待遇でメタに移籍した。

ただ、メタの状況も順風満帆ではない。米誌ワイアードによれば、同社が最近採用したAI研究者の一部はすでに退職しているという。

アップルとオープンAIの広報担当者は人事に関するコメントを控えた。アンソロピックにコメントを求めたがすぐに返答はなかった。

アップル株は2日、ブルームバーグの報道を受けて下落。1%安で通常取引を終えた。

可動式ディスプレーを搭載した卓上型デバイスや、小売店や製造現場で使われるロボットアームなど、アップルの今後の製品開発においてロボティクスは重要な要素となっている。

一方、メタも自社製品開発を進めており、ヒト型ロボット向けの基本ソフト(OS)やハードウエア部品に巨額の資金を投じている。

チャン氏はメタの研究部門リアリティー・ラボに属するロボティクス・スタジオで製品開発に携わることになる。

アップルでロボティクス分野のAI開発を率いてきた主任研究員がメタに移籍

原題:Apple AI Researcher for Robotics Joins Meta in Latest Exit (1)(抜粋)

(詳細な情報を追加して更新します)

--取材協力:Shirin Ghaffary.

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