(ブルームバーグ):プライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンドのロングリーチグループが、傘下のハンバーガーチェーン「ウェンディーズ・ファーストキッチン」運営会社の持ち株売却を検討していることが16日、分かった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
今回、売り出されるのはウェンディーズ・ジャパンの株式。関係者らによると、ロングリーチはすでに財務アドバイザーを選定し、売却先を探している。同ファンドは2016年にウェンディーズ・ジャパンの株式を取得するとともに、その傘下にファーストキッチンを収めていた。
ウェンディーズ・ジャパンの株式はロングリーチが過半を保有しているほか、ウェンディーズ・ジャパン会長の比嘉アーネスト氏が社長を務める食品輸入販売のヒガ・インダストリーズにも持ち分があり、同じ時期に売却する可能性もある。
ロングリーチの広報担当者は、コメントを控えるとしている。
ハンバーガーチェーンの国内市場は、主力の一角であるバーガーキングの出店攻勢や各社の値上げ策などが奏功し、拡大基調にある。調査会IMARKグループは、日本のファストフード市場が2024年の586億ドル(約9兆1800億円)から33年までに倍近い1041億ドルに達すると予測している。
市場拡大が予想される中、合併・買収(M&A)案件も出てきている。香港の投資ファンド、アフィニティ・エクイティ・パートナーズは11月、バーガーキングの日本事業を米ゴールドマン・サックスに売却すると発表した。一段の成長を狙った事業強化策や新規参入、規模を追求するM&Aなどで業界再編が進む可能性もある。
ロングリーチはウェンディーズ・ジャパンを買収後、ファーストキッチンとの共同店舗化などを進めてきた。両ブランドの商品を一緒に提供する「ウェンディーズ・ファーストキッチン」とファーストキッチンブランドに限って販売する「ファーストキッチン」を運営している。
ウェンディーズ・ファーストキッチンの国内店舗数は、ファーストキッチンと合わせて108店舗。日本ソフト販売の集計によると、25年4月時点の国内トップはマクドナルド(2978店舗)、2位はモスバーガー(1312店舗)で、ウェンディーズ・ファーストキッチンは8位の規模となっている。
ウェブサイトによると、ウェンディーズは1969年にアメリカ・オハイオ州に1号店をオープン。米国発の大手ハンバーガーチェーンとして、現在30以上の国や地域で7000店舗以上を展開している。日本には80年に進出して一度撤退、2011年に再参入した。
ウェンディーズブランドのメニューの自由度は比較的高く、定番商品のほかに、日本ではベーコンエッグバーガーやてりやきバーガー、フィリピンではライスボウル(丼もの)など本家にない「ご当地メニュー」を追加している。オーナー変更により、メニューを含めたブランド戦略練り直しを行う可能性がありそうだ。
--取材協力:鈴木英樹.
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