トランプ米政権2期目が発足して以降、新興国株式は好調を維持してきた。ただトランプ氏の貿易・財政政策は企業業績を圧迫しており、上昇の勢いが失速するリスクも出てきている。

新興国株で構成されるMSCIエマージング・マーケット指数のリターンは、今年1ー8月にかけ毎月プラスを記録した。37年前の算出開始以来、同指数が8カ月連続でプラスを維持したのはトランプ政権1期目の2017年とクリントン政権下の1993年の2回のみだ。

ただ懸念材料もある。新興国企業は苦境に陥っている。平均すると利益が13四半期連続で予想を下回っているほか、利益予想の下方修正も始まっており、今後の業績悪化が示唆されている。

株式市場と企業業績が対照的な状況となっている背景には、トランプ大統領の政策がある。

同氏の関税措置などを背景にドルの安全通貨としての魅力は低下し、代替となる資産への需要が高まった。同時に技術規制や通商障壁の影響で、韓国やブラジルなど新興国の企業の売上高や利益の成長が損なわれている。

バンク・ジュリアス・ベアの株式ストラテジスト、ネナド・ディニック氏は、「世界的な観点から、新興国株式に慎重な姿勢を維持する。関税関連のリスクは、新興国市場のセンチメントに一層大きな重しとなり続けている」と指摘している。

原題:Emerging Markets’ Trump Rally at Risk as Tariff Reality Kicks In(抜粋)

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