(ブルームバーグ):米国市場が休場となるレーバーデー(労働者の日)の9月1日、暗号資産(仮想通貨)のトレーダーらは、トランプ米大統領とその家族が支援するプロジェクトに関連したトークンの売買を初めて行えるようになる。
1日から取引が開始されるのは、トランプ氏の分散型金融(DeFi)プロジェクト、ワールド・リバティ・ファイナンシャルが発行するトークン「WLFI」だ。保有者に同プロジェクトへの発言権を与える「ガバナンストークン」で、創業者であるドナルド・トランプ・ジュニア氏やエリック・トランプ氏を除く初期の投資家に限り、保有分の20%までの売却が可能となる。残りは引き続き取引不可の状態が続く。

今回の取引開始は、発行総数1000億枚のWLFIトークンに「トランプ」という名前がどこまで影響力を持つのかを占う試金石となる。一部のサイトでは、プレマーケット価格が30セントとなっており、これに基づけば時価総額が上位45位内に食い込むことになる。一部の投資家は上位20位入りを期待しており、そうなればより多くの取引所がWLFIトークンを取り扱うようになる可能性が高い。
暗号資産調査会社メサーリのアナリスト、ディラン・ベイン氏は、20%の売却制限について「流通量を管理するための標準的な手法」だと説明。「初期段階の流動性を制限することで、短期的な売り圧力を抑え、価格の安定につながる」と語った。
暗号資産業界では、ランキングが資金の流れを大きく左右する。集計サイトのコインマーケットキャップなどでは、価格と流通量の掛け合わせによってトークンの順位が決まることが多く、これが投資資金の行き先に影響を及ぼしやすい。しかし、WLFIのように政界の中枢に近いプロジェクトによって開発されたトークンは極めて珍しい。
WLFIを保有するトレーダー、モーテン・クリステンセン氏は「流通量が少なければ、価格をつり上げるのが容易になる」と話す。同氏はトランプ氏のミームコインにおいて、取引開始後数時間で利益を上げた経験があり、WLFIでも数日以内に利益を得るつもりだという。
ワールド・リバティの代表者はコメントを控えた。

原題:‘Easier to Pump’: Crypto Coin Backed by Trumps Opens for Trading(抜粋)
--取材協力:Annie Massa.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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