(ブルームバーグ):1日の東京外国為替市場で円相場は1ドル=147円ちょうど付近で推移。日本株の下落でリスク回避の円買い圧力がかかる半面、石破茂首相の進退を巡る不透明感が円の上値を抑えている。米国で連邦高裁がトランプ政権の関税措置は違法との判断を示し、ドルにも不安材料が浮上している。
ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリストは、米国の利下げを左右する雇用統計などの米経済指標の発表を週内に控えて、積極的に取引するムードではなく、円相場は横ばい圏の動きにとどまるとみる。一方で、国内政局を巡る不透明感が円安圧力につながる可能性があると述べた。
米連邦高裁は8月29日、トランプ大統領が世界各国・地域に発動した関税について、米国際貿易裁判所が5月に下した「違法で無効」との判断を支持した。訴訟が続く間は関税の効力が維持されるため、市場の反応は今のところ限定的となっている。
一方、国内では参院選敗北を受けて自民党内で総裁選の前倒しを求める声が広がっており、上旬にも臨時総裁選実施の是非について党所属議員らの意思確認が行われる見通し。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは1日付リポートで、為替市場は米指標待ちで膠着(こうちゃく)しやすい半面、総裁選前倒しの機運が高まれば、財政拡大など「経済政策のハト派化期待」が強まり、円安圧力につながる可能性があると指摘。国内の政局動向は引き続き注意が必要としている。

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