(ブルームバーグ):マレーシアの資産家一族の後継者が出資する投資会社アイリス・キャピタル・パートナーズは、機関投資家から2億ドル(約300億円)の資金調達を目指している。外部資本を受け入れる最新のファミリー資産運用会社となる。
マネジングパートナーのレイチェル・ラウ氏によれば、同社は新たなプライベートクレジットやプライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンド向けに資金を募っている。同氏は、不動産で財を成し、世界最大のゴム手袋メーカー、トップ・グローブの初期投資家でもあった故ラウ・ブーン・アン氏の娘だ。
ラウ氏はインタビューで、「一族の投資だけでは不十分だと誰もが数年で気付く。保険や年金、政府系ファンド(SWF)といった、より恒常的な資本が必要だ」と語った。

2020年に創設されたアイリスは、来年早期にプライベート市場ファンドを立ち上げる予定。現時点で、同社資産の約25%が一族からの資金で、残りは第三者の機関投資家が占める。アンカー投資家には、韓国ハンファ・グループ創業家一族のキム・ドンウォン氏や、マレーシアの政府系ファンドが含まれる。
ラウ氏は16年に東南アジアの有力一族の若手らと共にRHLベンチャーズを創設。これまでベンチャーキャピタルに注力してきたが、今回のプライベートクレジットへの取り組みは方針転換となる。
同氏は今後、複数の国際企業に50-80%の出資を行い、東南アジアでの事業拡大を支援する計画だ。例えば、米国や中国企業がマレーシアやインドネシアに進出する場合を想定している。
現在15人のチームを率いるラウ氏は、ファミリーオフィスに比べ、「機関投資家の方が取引しやすい。求めるものが明確で、全ては金銭的リターンに基づく。そこに感情はない」と述べた。ただ、アイリスの総資産や自らの一族の資産規模については明かさなかった。
アイリス創業については、ベンチャーキャピタルの不安定さから離れ、より明確なルールが存在するプライベート市場に移行するための一歩だと説明。「アジアでのベンチャー投資は厳しかった。われわれにとってはプライベートクレジットやPEに投資する方が理にかなっており、ベンチャー投資の比率は徐々に減らしていく」と語った。
原題:Heir to Malaysian Fortune Seeks $200 Million for Private Markets(抜粋)
--取材協力:Netty Idayu Ismail.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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