(ブルームバーグ):海外投資家の間で日本株の人気が高まった近年でも見過ごされてきた中小型株がようやく脚光を浴び始めた。
海外投資家は4月以降、日本株(現物)を6兆5000億円超買い越した。2023年4-6月期と24年1-3月期に次ぐ3回目の買いの波だ。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の商社株投資などに刺激された23年や、アジア勢による中国株からのシフトがあった24年は投資対象が大型株に偏り、大型株指数の上昇率が小型株を上回っていたが、今回は小型株が大型株を1.8%ポイントアウトパフォームしている。
BofA証券の圷正嗣チーフ日本株ストラテジストは「日本株の上昇が3年目となり、ようやく長期資金が入ってきた。以前のように日本株がブーム化しているのではなく、さまざまな国の投資家が少しずつ日本株のウエートを上げ始めているようだ」と説明し、個別銘柄を選んで投資する資金の一部が中小型株にも入ってきた可能性を指摘する。

中小型株の好調は世界的な傾向だ。米国では6月以降、小型株のラッセル2000指数がS&P500種株価指数を上回るパフォーマンスを上げており、欧州や韓国でも小型株は足元で堅調に推移している。
内需系企業が多い中小型株の場合、円高が輸入コスト低下や国内消費押し上げにつながり業績にプラスなことも投資家の買いを誘う。岡三証券のまとめによると、TOPIXスモール指数では構成銘柄の4-6月営業利益が前年同期比7.9%増えた。対照的に円高が打撃となる大型株のTOPIX100指数では5.8%減った。円は対ドルで前年同期比約7%上昇。日本銀行の利上げ継続が見込まれる中で円高に振れやすい。
「緩やかな円高局面では中小型株が強くなる傾向があり、今後3年程度はそうなるのではないか」とエントーチ・キャピタル・パートナーズの永田芳樹最高投資責任者(CIO)は読む。
米マシューズ・インターナショナル・キャピタル・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ハン・ドンフン氏は、建設株ブームなど新たなトレンドも中小型株への投資を後押しすると指摘する。建設株はMSCI日本指数の構成比が0.8%と低く「パッシブ投資ではリターンを捉え切れない。アクティブ投資が必要だ」と言う。
投資家が熱い視線を向けるのは内需系企業だけではない。ハン氏は自動車のような関税の影響を受けるセクターでも、特定の分野で強い競争力を持つ企業があるとし、「中小型株の中にはそうした素晴らしい掘り出し物が隠れている」と語った。

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