(ブルームバーグ):中国商務省の李成鋼次官が今週、米国を訪問する。李氏は通商交渉のカギを握る人物で、両国の協議が進展しつつあることが示唆された。
事情に詳しい関係者が匿名を条件に述べたところによると、李氏はワシントンで米国の当局者や経済界関係者らと会談する。少なくとも28、29日は米国に滞在する予定だという。
米政府報道官はブルームバーグに対し、今回の訪問は正式な交渉セッションの一環ではないと述べた。これより先にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じたところによれば、李氏は米通商代表部(USTR)のグリア代表のほか、米財務省当局者と会談する。
中国外務省の郭嘉昆報道官は北京での定例記者会見で、李氏の訪米に関する質問を避けた。商務省は声明で、李氏が25日にカナダを訪問したことを明らかにした。
北京の米国大使館はコメント要請に対し直ちに応答しなかった。
トランプ米大統領が今月、中国製品に対する関税引き上げの停止措置を90日間延長したことを受けて、両国の対立はひとまず落ち着きを見せている。
この休戦によって両国は、合成麻薬フェンタニルの流通に関連した関税やロシアおよびイラン産原油購入を巡る懸念、米企業による中国での事業展開を巡る意見の相違など未解決の問題に取り組む時間を得た格好だ。
ユーラシア・グループの中国・北東アジアチーム上級アナリストで、かつて米国の外交官として中国と日本に赴任した経歴を持つジェレミー・チャン氏は、「李氏とグリア氏の組み合わせを踏まえると、協議の焦点はテクノロジーやフェンタニルではなく、むしろ貿易と関税だ」と指摘。中国が李氏を米国に派遣することは、トランプ氏と習近平国家主席の首脳会談実現に向けた前向きな兆候だと述べている。
原題:China Sends Senior Trade Negotiator to Meet US Officials (1)(抜粋)
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--取材協力:Jing Li、Colum Murphy.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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